肥満リスクに新知見!朝食のほかに夕食の摂取頻度にも注意
大阪大学の学生26,433人を6年間追跡した疫学研究
研究成果のポイント
概要
大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの山本陵平准教授と守山敏樹教授らの研究グループは、夕食を食べない大学生は体重増加・肥満のリスクが高いことを示し、夕食の摂取頻度と肥満の関連を世界で初めて明らかにしました。
これまで朝食を食べない人は肥満のリスクが高いことが知られていましたが、昼食・夕食の摂取頻度が肥満に及ぼす影響はほとんど報告されていませんでした。
今回、山本准教授らの研究グループは、大阪大学の学生26,433人の体重変化を6年間追跡した結果、入学前1年間に夕食をほぼ毎日食べていた学生と比較して、そうでない学生は、入学後に体重が10%以上増加するリスクが上昇しており(男性1.42倍、女性1.67倍)、肥満(body mass index ≧25 kg/m2)を発症するリスクが上昇していました(男性1.74倍、女性1.68倍)。これにより、毎日夕食を食べる生活習慣が大学生の肥満の予防につながることが期待されます。
本研究成果は、国際科学誌「Nutrients」に、1月19日に公開されました。
図1 大阪大学1年生男性(a)および女性(b)の夕食摂取頻度と10%以上の体重増加の累積発症率
研究の背景
これまで朝食を食べない人は体重増加・肥満のリスクが高いことが知られていましたが、昼食・夕食の摂取頻度が体重に及ぼす影響はほとんど報告されていませんでした。
山本准教授らの研究グループでは、2007〜2015年に大阪大学に入学した学生26,433人の入学前1年間の朝食、昼食、夕食の頻度(ほぼ毎日食べている、食べないことがある、食べないほうが多い、ほぼ食べない)と在学期間の体重変化の関連を評価しました。男性では、夕食を「①ほぼ毎日食べている」と回答した17,307人のうち1,857人(10.7%)が10%以上の体重増加を認め、それ以外の回答をした266人のうち39人(14.7%)が10%以上の体重増加を認めました(図a)。女性では、夕食を「①ほぼ毎日食べている」と回答した8,502人のうち1,436人(16.9%)が10%以上の体重増加を認め、それ以外の回答をした358人のうち82人(22.9%)が10%以上の体重増加を認めました(図b)。
多変量解析の結果、夕食をほぼ毎日食べていた学生と比較して、そうでない学生の10%以上の体重増加のリスクは、男性で1.42倍(95%信頼区間1.02-1.98)、女性1.67倍(1.33-2.09)でした。さらに、肥満(body mass index ≧25 kg/m2)を発症するリスクを評価した結果、男性で1.74倍(1.07-2.84)、女性で1.68倍(1.02-2.78)でした。一方、朝食・昼食の摂取頻度と体重増加・肥満の関連は認められませんでした。
本研究は、朝食・昼食よりも、夕食の摂取頻度が、体重増加・肥満に深く関連していることを世界で初めて報告しました。今後、成人においても同様の結果が得られるかを明らかにする必要があります。
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究成果により、毎日夕食を食べる生活習慣が大学生の肥満の予防につながることが期待されます。大学生の肥満予防には、朝食だけではなく、夕食の摂取頻度にも注意が必要です。
特記事項
本研究成果は、2021年1月19日国際科学誌「Nutrients」(オンライン)に掲載されました。
タイトル:“Associations of Skipping Breakfast, Lunch, and Dinner with Weight Gain and Overweight/Obesity in University Students: A Retrospective Cohort Study”
著者名:Ryohei Yamamoto, Ryohei Tomi, Maki Shinzawa, Ryuichi Yoshimura, Shingo Ozaki, Kaori Nakanishi, Seiko Ide, Izumi Nagatomo, Makoto Nishida, Keiko Yamauchi-Takihara, Takashi Kudo, and Toshiki Moriyama