「お酒は、ほどほどに」を証明。 大量飲酒(日本酒3合以上/日)は蛋白尿リスクを高め 適度な飲酒(日本酒1合/日)は腎臓病リスクが低い

「お酒は、ほどほどに」を証明。 大量飲酒(日本酒3合以上/日)は蛋白尿リスクを高め 適度な飲酒(日本酒1合/日)は腎臓病リスクが低い

11研究1463万人のメタ解析が明らかにした飲酒と腎臓病の関係

2023-4-21生命科学・医学系
キャンパスライフ健康支援・相談センター教授山本陵平

研究成果のポイント

  • アルコール摂取量と腎臓病の関連を評価した11研究(総対象人数14,634,940人)の結果をメタ解析した結果、アルコール摂取量20g/日程度(日本酒約1合)では蛋白尿発症および腎機能低下のリスクが低下しましたが、60g/日程度(日本酒約3合)では蛋白尿リスクの上昇が認められました。
  • 少量~中等量の飲酒は腎臓病のリスクを低下させるという研究成果は多数報告されていますが、大量飲酒が腎臓病に及ぼす影響を評価した研究報告は少数であり、一定の見解が得られていませんでした。
  • 大量飲酒は、癌や心血管疾患のみならず、腎臓病のリスクでもある可能性が示されました。適度な飲酒量として推奨されているアルコール20g程度ならば腎臓病の予防効果が期待できます。

概要

大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターの山本陵平教授らの研究グループは、アルコール摂取量と腎臓病のリスクを評価した疫学研究報告の網羅的な文献検索を行い、抽出された11研究(総対象人数14,634,940人)の研究結果をメタ解析の手法を用いて統合しました。その結果、蛋白尿(尿蛋白≧1+)のリスクは、アルコールの少量摂取では低下した一方、大量摂取では蛋白尿リスクの上昇が認められました(図1)。腎機能低下(糸球体濾過量≦60 mL/分/1.73 m2)のリスクはアルコール摂取量30g/日程度まで低下し、それ以上の摂取量ではほぼ横ばいでした(図2)。

大量飲酒が腎臓に及ぼす影響を評価した研究は少なく、これまで一定の見解が得られていませんでした。本研究はこれまでに報告された疫学研究の結果を統合することによって、60g/日程度(日本酒約3合)以上のアルコール摂取は蛋白尿リスクであることが明らかにしました。一般に推奨されている20g/日程度の適度な飲酒は腎臓病の予防にも有効であることが期待されます。

本研究成果は、2023年3月25日に国際科学誌「Nutrients」(オンライン)に掲載されました。

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研究の背景

少量~中等量の飲酒による腎臓病のリスクの低下はこれまで多数報告されています。一方、大量飲酒が腎臓病に及ぼす影響を評価した研究報告は少数であり、一定の見解が得られていませんでした。

研究の内容

研究グループは、アルコール摂取量と腎臓病のリスクを評価した疫学研究報告の網羅的な文献検索(システマティックレビュー)を行い、抽出された11研究(総対象人数14,634,940人)の研究結果をメタ解析の手法を用いて統合しました。

蛋白尿(尿蛋白≧1+)のリスクは、非飲酒者と比較して、アルコール摂取量≦12g/日では0.87倍に低下しますが、36~60g/日では1.09倍に上昇し、>60g/日ではさらに1.15倍に上昇しました(図1)。

腎機能低下(糸球体濾過量≦60 mL/分/1.73 m2)のリスクは、アルコール摂取量12~36g/日で0.82倍に低下し、それ以上の摂取量においてほぼ横ばいでした(図2)。アルコール摂取量>60g/日の腎機能低下のリスクを評価した疫学研究はわずかであり、今後さらなる研究成果の蓄積が必要です。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究は、これまでに発表された疫学研究の結果を統合することによって、大量飲酒が蛋白尿のリスクであることを明らかすると同時に、アルコール摂取量20g/日(日本酒約1合)程度の適度な飲酒では腎臓病のリスクが低下することを示しました。適度な睡眠や禁煙と同様に、適度な飲酒を心がけることによって、心血管系疾患や死亡の重要なリスクである腎臓病の予防に繋がることが期待できます。

特記事項

本研究成果は、2023年2月7日に国際科学誌「Nutrients」(オンライン)に掲載されました。

タイトル:“Dose-Dependent Association between Alcohol Consumption and Incidence of Proteinuria and Low Glomerular Filtration Rate: A Systematic Review and Meta-Analysis of Cohort Studies”
著者名:Yamamoto, Ryohei, Qinyan Li, Naoko Otsuki, Maki Shinzawa, Makoto Yamaguchi, Minako Wakasugi, Yasuyuki Nagasawa, and Yoshitaka Isaka
DOI:https://doi.org/10.3390/nu15071592

本研究は、日本医療研究開発機構「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業 ヘルスケア社会実装基盤整備事業(22rea522003h0001)」の支援を得て行われました。

参考URL

山本陵平教授 Research Map
https://researchmap.jp/yamamotor

Twitter @yamamotoryohei_

SDGsの目標

  • 03 すべての人に健康と福祉を