光は、ついに速さを制御する時代へ。 超光速・低光速・加速・減速飛行の光弾丸達成!

高解像度超高速イメージングや電子の加速効率の大幅な向上等に期待

2020-11-20自然科学系

研究成果のポイント

・超光速、低光速、加速、減速飛行の光弾丸を生成することに成功。
・この可変速飛行の光弾丸は自由空間を伝播し、特別な環境を必要としない。
・光の速さを制御することで、電子の加速効率を大幅に向上させることや高解像度超高速イメージング分野等、さまざまな分野で画期的なブレークスルーに繋がることが期待される。

概要

大阪大学レーザー科学研究所の李朝陽(ZhaoyangLi)助教、河仲準二教授の研究グループは、レーザーパルスの強度面整形(位相面は変更されません)と非回折光を組み合わせることで、自由空間内での直線飛行光弾丸を理論的に生成し、超光速、低光速、加速、減速のすべての場合を含めて、その速度と加速度を自由に制御することに成功しました(図1)。光弾丸の速度や加速度の制御性が高いことから、速度や加速度に合わせたマイクロマニピュレーション、顕微鏡観察、粒子加速、放射線発生などの特定の用途が可能になります。

本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」誌に、7月13日18時(日本時間)に公開されました。

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図1 a:超光速 b:低光速 c:加速 d:減速飛行の光弾丸

研究の背景

時空間の三次元光ソリトンは、「光の弾丸」と呼ばれ、多くの新しい性質を持ち、幅広い応用が可能です。アインシュタインの相対性理論の原理によれば、光の速度は一定であり、光の速度を超えることはできませんが、光パルスの群速度を制御することは可能です。従来の光パルスの群速度を制御するためには、超低温原子、高温原子蒸気、刺激ブリルアン散乱、能動利得共鳴、トンネル接合、メタマテリアル、フォトニック結晶など、いくつかの特殊な条件が必要です。また、共鳴から遠い波長の透明材料が必要であることや、自由空間であっても、制御性が非常に限られていることが課題でした。

今回提案した超短パルス時空間結合は、自由空間における直線伝搬光弾丸の速度を制御することができます。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

光の速度を制御することは、物理学の研究では古くからホットで難しいテーマでした。本研究では、時空間結合(強度面整形)によりレーザー光弾丸群速度を任意に制御することが可能であることを示しました。これはアインシュタインの相対性理論の原理に反するものではありません。この方法では、速度が可変の3次元レーザー光弾丸を生成し、「時間分解不変」から「時間分解可変」へと光と物質の相互作用に関する研究の幅を広げることに繋がります。例えば、レーザー光弾丸で加速された電子を用いた実験では、レーザー光弾丸の飛行速度を制御できれば、レーザー光弾丸で発生する電磁場と飛行中の電子を完全に一致させることができるため、電子の加速効率を大幅に向上させることができます。また、生物学的な高解像度超高速イメージングの分野では、検出用レーザー光弾丸の飛行速度を制御することによって、画期的なブレークスルーにつながることも期待されます。

特記事項

本研究成果は、2020年7月13日18時(日本時間)にNature Publishing社が発行する「Scientific Reports」誌(オンライン)に掲載されました。

題名:「Velocity and acceleration freely tunable straight-line propagation light bullet」 邦訳:「速度と加速度を自由に調整可能な直線伝搬光弾丸」
著者:李朝陽(Zhaoyang Li)、河仲準二(Junji Kawanaka)
DOI: 10.1038/s41598-020-68478-1

本研究は、JSTの未来社会創造事業「JPMJMI17A1」を受けて行われました。

参考URL

レーザー科学研究所 パワーレーザーシステム工学グループHP
https://www.ile.osaka-u.ac.jp/research/rdl/

用語説明

強度面

レーザーパルスの強度のピーク位置をつないだ面。

位相面

レーザーパルスの波が同じ位相を持っている表面。

光弾丸

時空間の三次元光ソリトン。