2016年1月7日

本研究成果のポイント

・冷却シートを額に貼るような感覚で、容易に装着することができるパッチ式脳波センサの開発に成功
・従来の脳波測定は、頭部全体に複数の電極を装着するなど装着者の負担が大きかった
・本センサにより、脳波測定を簡易・リアルタイムに可視化でき、脳と個人の状態との因果関係の解明の一助となる

リリース概要

大阪大学Center of Innovation(COI)拠点では、国立研究開発法人科学技術振興機構のセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラムによる支援のもと、脳マネジメントにより常に潜在力(個人の持つ最大能力)を発揮できる“スーパー日本人”の実現を目指し、医脳理工・産学連携のプロジェクトを進めています。

このたび、関谷毅(大阪大学産業科学研究所教授)、菊知充(金沢大学こどものこころの発達研究センター教授)を中心とした医脳理工連携チームは、“冷却シートを額に貼るような感覚で、容易に装着することができるパッチ式脳波センサの開発”に成功しました(図1)。大型の医療機器と同じ計測精度を持つ手のひらサイズのパッチ式脳波センサであり、リアルタイムに脳状態を可視化することができます。

従来の脳波測定には、頭部全体に複数の電極を装着するなど装着者の負担が大きいため、長時間の装着が難しく、特に子どもの脳の測定は極めて困難でした。

本センサの開発により、脳波測定が簡易となり、多くの脳波データ取得が可能になることで、脳と個人の状態との因果関係を解明する一助となると考えられます。また、将来的には家庭内で脳波が測定でき、個人の状態を判断できるシステムの実現が期待されます。

パッチ式脳波センサの技術詳細は、2016年1月13日(水)~15日(金)に東京ビックサイトにて開催された第2回ウェアラブルEXPO(東3ホール E22-34)にて発表されました。

図1 今回開発したパッチ式脳波センサ
柔軟な電極とシート型ワイヤレス計測モジュール、小型電池で構成される。厚みは6mm、重さは24gと軽い。生体適合性のある密着性ゲルにより額に密着しながら脳波をリアルタイム計測できる。

背景

大阪大学COI拠点では、産学連携アンダーワンルーフのもと、医学・脳科学・理学・工学が連携(医脳理工連携)して、脳機能を明らかにし人間の状態(感情やストレスの状態)との因果関係を解明する研究を行っています。これらの情報を基に、人間の各状態に応じた活性化の手法を開発し、社会に提供する脳マネジメントシステムの研究開発を進めています。

脳マネジメントシステムは状態を検知し、活性化手段を提供し、活性化状態を評価し、さらなる活性化につなげるというサイクルを繰り返しますが、状態を検知する手段として脳波を測定することが極めて重要な課題です。ところが従来の医療用脳波計では、頭部全体に複数の電極を有線で装着し、導電ゲルを頭皮に塗布する手法がとられ、ウエアラブルな脳波計でも頭皮に電極を当てる櫛形電極が必要であるなど、装着者への負担が大きく長時間の装着には耐えられませんでした。また、多くのウエアラブルな脳波計は、装着時に、多数のケーブルをともなうことから、例えば子どもの脳を計測することは極めて困難でした。

そこで、誰でも・どのような状態でも精度の高い脳波計測を行うには、装着者に負担の少ない脳波計の開発を行う必要がありました。

社会に与える影響(社会的意義)

本プロジェクトで開発した脳波センサにより、これまで以上に脳波測定が簡易になることで、多くの脳波データを取得することが可能となり、脳と個人の状態との因果関係を解明する一助となると考えられます。

さらに今回、アルツハイマー型認知症患者と健常者の脳活動の違いを、額の脳波計測のみで区別できることを突き止めることができました。今後、このパッチ式脳波センサを利用することで、家庭内、かかりつけ医院、介護施設等で認知症の簡易検査などへとつながる可能性があります。

また、COIプログラムは、社会実装をひとつの目的としており、脳マネジメントの方法の1つとして、将来的には家庭で脳波を測定し、その結果をもとに測定した個人の状態を判断し、個人の状態にあった活性化手段を用いて、個の潜在能力を常に発揮できるシステムの実現を目指しています。

特記事項

大阪大学COI拠点は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムによる支援により、金沢大学、パナソニック(株)など11機関、25企業と共同で研究を進めています。

参考URL

大阪大学産業科学研究所 関谷毅研究室HP
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/aed/

大阪大学COI拠点HP
http://www.coistream.osaka-u.ac.jp/

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