2019年12月18日

概要

大阪大学産業科学研究所の小本祐貴助教、谷口正輝教授の研究グループは、機械学習を用いて単分子計測での識別精度を飛躍的に向上させることに世界で初めて成功しました。単分子計測はナノテクノロジー技術※1を駆使して作製された金属ナノギャップ※2間の単一の分子の電気抵抗を計測する手法です。単分子計測は、単一分子を直接検出できるためにDNAなどの幅広い生体分子の新規計測手法として期待されています。

しかし、これまで単分子計測は、平均的な電気抵抗のみが求められるのが一般的でした。平均的な電気抵抗のみがわかるために複数の分子の識別能が低いことが生体分子識別技術の実現への課題でした。

小本祐貴助教、谷口正輝教授らの研究グループは、機械学習※3を単分子計測の解析に適用することにより、単一分子由来のシグナルを高精度に識別することに取り組んでいます。本研究では従来のヒストグラム作成による平均的な電気抵抗を求めず、機械学習により溶液中の目的のDNA分子由来のシグナルのみを抽出した後に、単一分子シグナルを直接機械学習により分類することにより、電気抵抗が近く判別することが難しいシグナルの高精度な識別を実現しました。機械学習適用による単分子識別能の向上及び目的シグナル抽出の実現により、DNA修飾塩基の検出やタンパク質を構成するアミノ酸や神経伝達物質などの幅広い生体分子の新規検出技術実現への応用が期待されます。

図1 単分子計測と機械学習を用いた解析手法の概念図

用語解説

※1 ナノテクノロジー技術
ナノメートル(1nm=10-9m)スケールの構造を作製するための技術。本研究ではナノメートル単位の微細な金属細線を描画するために、電子線を照射し微細な型を形成する電子線リソグラフィー技術などを用いている。

※2 ナノギャップ
1nmスケールのギャップ。代表的な単分子計測手法のMechanically ControllableBreak Junction(MCBJ)法では、金属細線が描画された弾性基板を押し曲げて、金属細線を破断させて形成する。

※3 機械学習
与えられた学習データから分類や回帰のためのルールを導くための計算手法

参考URL

大阪大学 産業科学研究所 バイオナノテクノロジー研究分野 谷口研究室
http://www.bionano.sanken.osaka-u.ac.jp/index.html

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