2012年1月6日

<リリースの概要>

大阪大学の共同研究講座は、大学と企業などの外部機関が協働して研究課題に取り組み、優れた研究成果を創出し、それを新産業に発展させることで社会に還元することを目指した産学連携の制度です。共同研究講座は2006年4月に創設され、現在、バイオテクノロジーをはじめとした先端科学の分野において20を超える講座が開設されています。

武田薬品は、本年1月1日にワクチンビジネス部を設立し、革新性の高い製品の導入や新規プラットホーム技術の確立を通じたワクチンパイプラインの拡充と、同事業のグローバル展開を追求しています。この戦略の一環として大阪大学と設置した共同研究講座は、CMC※3研究をはじめとして武田薬品が長年培ってきたワクチンに関する技術や知識をより発展させることに貢献するものです。

本共同研究講座では、大阪大学で開発されたナノ粒子の基盤技術をもとに、武田薬品が有するワクチン抗原、研究開発基盤、製剤技術、品質管理・規格化、特許管理等のノウハウを融合させることで、ナノ粒子ワクチンの実用化・産業化に向けた橋渡し研究を実施します。また、ナノ粒子のアジュバントとしての特性に関する技術研究をさらに進め、次世代アジュバントの実用化・産業化に向けた研究を実施してまいります。

大阪大学大学院工学研究科・教授であり本共同研究講座の研究代表者 明石満は、「これまでのJST-CREST※4での基盤研究により、ナノ粒子はワクチン抗原を高効率で担持することができ、抗原提示細胞である樹状細胞に積極的に抗原を送達することで優れた免疫誘導効果を示すことが明らかになっています。大阪大学の基盤技術に武田薬品の臨床研究・開発・製剤化技術を融合させることで、感染症予防などの実用化研究を進めてまいります」と述べています。

武田薬品のCMC研究センター所長 三輪哲生は、「当社は、革新性の高い新規ワクチンの創出につながり、また、既存のワクチンの価値を最大化する新規プラットホーム技術を確立することにより多様性のあるパイプラインの構築を目指しています。大阪大学の最先端のナノテクノロジーに当社の製剤化技術や品質管理のノウハウなどを結び付け、新規ワクチンアジュバントの研究開発を促進してまいります」と述べています。

 

※1
γ-PGAは微生物(Bacillus属)により合成される分子量数十~数百万のポリアミノ酸。γ-PGAは大量合成が可能な水溶性の生分解性高分子であり、様々な化学修飾が可能である。γ-PGAに疎水性アミノ酸を導入し、両親媒性構造を制御することで分散安定性の高いナノ粒子が形成される。疎水化γ-PGAナノ粒子は、効率よく安定的に抗原タンパク質を粒子内部および表面に保持できる特徴を有する。

※2
アジュバントとはワクチン抗原と一緒に投与することにより、抗原に対する免疫応答を増強する物質であり、その作用としては、抗原の徐放化、細胞への取り込み促進および免疫担当細胞の活性化が挙げられる。

※3
CMCとはChemistry, Manufacturing and Controls (化学、製造および品質管理)の略で、CMC研究とは創薬研究で見出された新薬候補物質を医薬品として市場に供給するための、原薬や製剤の設計・製品品質の設計・製造プロセスの開発を行う研究開発活動のこと。

※4
JST-CRESTとは独立行政法人科学技術振興機構(Japan Science and Technology Agency)が推進する戦略的創造研究推進事業の一つであり、CREST(Core Research for Evolutional Science and Technology)は社会的・経済的ニーズの実現に向けた戦略目標に対して設定され、インパクトの大きなイノベーションシーズを創出するためのチーム型研究である。

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