
ロボットが幼児の粘り強さを高めることを実証
困難な課題への挑戦の支援に期待
研究成果のポイント
- ロボットからの声掛けにより、4~5歳児の粘り強さ(困難な課題を頑張ろうとすること)が高まることを実証
- これまでロボットが子どもの学習をサポートすることが示されていたが、困難への粘り強さをサポートできるのかについては解明されていなかった
- 日常場面において、子どもの困難な課題への挑戦を支える存在として、ロボットの活用に期待
概要
大阪大学大学院人間科学研究科の石川萌子招へい研究員、松村紗奈さん(研究当時:同人間科学部4年生)、鹿子木康弘教授らの研究グループと、同基礎工学研究科のマハズーン・ハーメド招へい准教授、吉川雄一郎教授らの研究グループの共同研究により、ロボットからの声掛けが人の声掛けと同様に、4~5歳児の困難な課題への粘り強さを高めることを世界で初めて明らかにしました。
これまでロボットが子どもの学習をサポートすることが示されていましたが、困難への粘り強さをサポートできるのかについては解明されていませんでした。
今回、研究グループは、発話や身振りなどを通して幼児と自然にやり取りができるロボットを用い、ロボットの声掛けが粘り強さを高めることを解明しました。幼稚園や学校など、様々な場面で子どもの困難への挑戦を支える存在として、ロボットの活用が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Child Development」に、7月10日(金)(日本時間)に公開されました。
研究の背景
粘り強さは、難しい課題に直面しても諦めずに取り組み続ける力であり、子どもの学びや成長に欠かせません。実際、発達初期の粘り強さはその後の学業成績や将来の成功に影響することが知られています。これまでロボットが子どもの学習を支援できる(例:ロボットと学ぶことで、子どもが解く問題の数が増える)ことは知られていましたが、幼児の粘り強さを高められるかどうかは明らかではありませんでした。また、ロボットが人と同じように子どもの挑戦を支えられるかどうかもわかっていませんでした。
研究の内容
研究グループでは、発話や身振り、視線の動きを通して幼児と自然にやり取りができるロボットを用いることで、ロボットの声掛けが人の声掛けと同じように子どもの粘り強さを高めることを解明しました。一方で、ロボットと同じ内容の音声をパソコンから流した場合には、粘り強さは高まりませんでした。
これらの結果から、単に声掛けを音声で聞くだけでは促進効果はなく、ロボットや人のような「他者がそこにいる」と感じられる社会的な存在から声を掛けられることが、子どもの粘り強さを促進するうえで重要であることが示されました。
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究成果により、幼稚園や学校、家庭内などのさまざまな場所で子どもが困難に挑戦することを支える存在として、ロボットの活用が期待されます。また、本研究は、発達早期の粘り強さを高めるメカニズムの一端を示しており、早期介入につながることが期待されます。
特記事項
本研究成果は、2026年7月10日(金)(日本時間)に米国科学誌「Child Development」(オンライン)に掲載されました。
タイトル:“Social robots’ verbal time updates facilitate children’s persistence in challenging tasks: A comparison with humans”
著者名: Ishikawa, M., Matsumura, S., Mahzoon, H., Yoshikawa, Y., and Kanakogi, Y.
DOI:https://doi.org/10.1093/chidev/aacag125
なお、本研究は、文部科学省によるSociety 5.0実現化研究拠点支援事業 (グラント番号:JPMXP0518071489) の支援を受けた。
参考URL
鹿子木 康弘 教授 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/e1f9b0e1d068fb61.html
吉川 雄一郎 教授 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/2e636089945f9f56.html
石川 萌子 招へい研究員 ResOU「先端研究+」記事
(『大阪大学NewsLetter No.94』掲載当時:博士後期課程3年)
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/feature/sentan_plus_6/sentan_plus_6-01
用語説明
- ロボットからの声掛け
本研究では、ロボットは子どもが課題に取り組んだ時間を伝えた(例:20秒だよ。30秒だよ。)。こうした声かけによって、子どもは「自分が頑張り続けていること」を実感しやすくなり、その結果、より粘り強く課題に取り組めたと考えられる。
- 粘り強さ
課題に取り組んでいる時間。開けることのできない箱をどのくらいの時間開けようとするかを測定し、それを粘り強さの指標としています。
