2014年5月14日

リリース概要

大阪大学蛋白質研究所では、欧米と協力して蛋白質構造データバンク(PDB: Protein Data Bank)の運営をPDB Japan (PDBj)として行っており、蛋白質をはじめとする生体高分子の立体構造情報を研究者から受け付け、編集・登録作業を行って全世界に公開しております(http://pdbj.org/)。

5月14日の更新によって、全世界で公開されているエントリー数が10万件を超え、一つのマイルストーンを達成します。なお、PDBjにおいて処理された総登録数は世界全体の約23%に達しています。

蛋白質構造データバンク(PDB)について

PDBは、蛋白質、核酸等の生体高分子立体構造データを集めたデータベースとして、1971年に米国で創設されました。2003年には英国(欧州)と日本(アジア)が加わり、日米欧3極で、全世界の研究者が明らかにした蛋白質構造のデータを登録・管理・運営し、無償で公開する体制が整えられました。登録データ数の飛躍的な増加とともに、生命科学の研究や創薬開発のための情報源として、着実にその重要性を深めています。

当研究所は、PDB Japan (PDBj)として、日本における蛋白質構造データバンク(PDB: Protein Data Bank)の運営を行っております。

研究の背景

1950年代に、科学者は初めて、X線結晶解析によって原子レベルで蛋白質やDNAの立体構造を解析し始め、これら初期の構造解析が構造生物学の新たな時代を切り開きました。解析されたデータを蓄積し共有することの重要性は明白であり、米国と英国を中心とする国際的な連携によって運営される蛋白質構造データバンク(PDB)が1971年に設立されました。

PDBに登録された初期の構造には、ノーベル賞受賞者であるジョン・ケンドリューとマックス・ペルーツ両博士によって1958年に解かれたミオグロビンと酸素が結合した構造もあります。5月14日に、PDBには219個の構造エントリーが新たに追加され、PDBから公開されている全エントリー数は100,147件となりました。これらの構造は他のデータとともに創薬、情報生物学とその教育に極めて重要な役割を果たすこととなります。

PDBは急速に発展し、2008年以降、2倍の規模に成長しており、毎週200以上の構造を新たに科学の分野へ公開しています。このデータベースには、異なる蛋白質が互いにどう関係しているのかを突き止め、生物学的なメカニズムを明らかにし、さらには新薬を開発する、という目的を持った研究者や学生、教育に携わる方々からの数億ものアクセスが毎年あります。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

発足当初からPDBは研究者コミュニティーによって運営されるデータバンクであり、生物学研究への国際的に重要な情報資源として運営されてきました。2003年以降は、米国、英国、日本の3極による国際的組織(wwPDB: Worldwide PDB)として、その品質を保持しつつ貴重なデータを蓄積・管理し、世界の科学者に無償で公開し続けてきました。wwPDBのメンバーは、登録と編集の方針やデータの表示に関する問題、またデータ検証の基準等について、専門家たちと緊密に連携し運営を行っております。加えて、wwPDBはより広い分野の科学者に対する構造生命科学の振興にも寄与してきました。

データバンクに登録される構造は、それぞれ公開前にwwPDBのスタッフによって注意深く検証されます。新たに登録されたデータは精査され、付加価値の高いアノテーションにより信頼性が高められ、また他の重要な生物学データとクロスリンクされて関係付けられ、広い分野において様々な研究の背景や目的を有するユーザーの目にとまり易くなるよう整備されます。

特記事項

大阪大学蛋白質研究所のPDBjは、独立行政法人科学技術振興機構・バイオサイエンスデータベースセンターの支援を受け、また本研究所の共同利用・共同研究拠点活動の一環として運営を行っております。

参考図

図1 PDBのローカルアーカイブ
RCSB(米国)、PDBe(英国)、PDBj (日本)

図2 PDBに登録された多様で複雑な生体高分子の構造(1~8)とデータ数の推移
《構造の例》
1. ミオグロビン (PDB ID: 1mbn)、2. 酵素類 (上: 4pti, 右下: 2cha, 左下: 3cpa)、3. 転移RNA (6tna)、4. ウイルス (4rhv)、5. 抗体 (1igt)、6. 蛋白質-DNA複合体 (上より下に、1j59, 1tro, 2bop, 1aoi)、7. リボソーム (1fjg, 1fka, 1ffk)、8. シャペロン (1aon)

参考URL

日本蛋白質構造データバンク(PDBj: Protein Data Bank Japan)
http://pdbj.org/

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