DMATからお伝えしたい、災害への備え
「ちょっとミミヨリ健康学」Column Entry No.018
医学系研究科 救急医学教室 教授 織田順
身近な健康・医療情報を、大阪大学の研究者がちょっとミミヨ リとしてお届けするコラム。

専門的な訓練を受け、発災直後から急性期に迅速に活動するDMAT(災害派遣医療チーム)。災害現場で患者さんを診療するだけではなく、被災した病院の支援、患者さんの搬送、医療ニーズの把握、多くの医療チームを動かす本部での情報収集や調整など、その役割は多岐にわたります。阪大DMATは、10年前に続き、今年7月の熊本地震にも派遣され、このような任務に携わりました。DMATの出番は大地震だけではなく、多重衝突事故や大規模火災など、局地的な災害にも広がっています。

近隣で発災した場合にも、すぐに活動を開始します。阪大病院は大阪府の地域災害拠点病院に指定されており、大規模災害時には重症患者を受け入れるとともに、周辺地域の医療機関を支える役割を担っています。2018年の大阪府北部地震では、阪大病院自身も被災する中で診療を継続し、阪大DMATは地域の支援にあたりました。災害時に医療を止めないことも、大学病院の大切な役割です。
災害はいつ、どこで発生するかわかりません。一人ひとりがけがを防ぎ、自分と家族が数日間をしのげるよう備えておくことは、限られた医療を本当に必要とする人に届けることにもつながります。
まずは身の回りの備えを確かめてみましょう。家具は固定されていますか。高い場所に重いものを置いていませんか。食料は最低3日分(できれば1週間分)、水は1人1日3リットル程度が目安です。特別な「非常食」だけをそろえる必要はありません。普段の米や麺類、缶詰、レトルト食品、野菜ジュース、スープ、お菓子などを少し多めに買い、食べた分だけ補充する「ローリングストック」が続けやすいかもしれません。スマートフォンの充電器やモバイルバッテリー、カセットコンロや簡易トイレなども忘れずに。
仕事中や通勤中に災害が起きた場合に備えて、家族で避難場所や連絡方法を決めておくことも大切です。
いざというときは、マイナ保険証や資格確認書とあわせて、お薬手帳や普段飲んでいる薬の一覧も持ち出しましょう。お薬手帳があれば、災害時もご使用中のお薬をスムーズかつ安全に処方してもらえます。
もう一つのおすすめは、普段からの「プチ災害訓練」。家の中で地震が起きたと想定して、まず身を守る。揺れが収まったら火元と出口を確認する。そして玄関や近くの安全な場所まで実際に移動してみる。それだけでも立派な訓練です。災害が起きてからスマートフォンやテレビで情報を探す前に、まず自分と家族の身を守る。その動きを一度経験しておくだけでも、いざというときの行動は変わります。
今週末に5分だけ、「プチ災害訓練」をしてみませんか。
■参考URL
大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター/ 大阪大学大学院医学系研究科救急医学教室
阪大病院ニュース第94号:p4防災特集
【前回】ちょっとミミヨリ健康学⑰
(本記事の内容は、2026年10月7日発行の大阪大学NewsLetter 95号に掲載されたものです )
