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血小板数の低下は肝疾患発見のいとぐち

「ちょっとミミヨリ健康学」Column Entry No.010

医学系研究科 教授/医学部附属病院長 竹原徹郎

身近な健康・医療情報を、大阪大学の研究者がちょっとミミヨ リとしてお届けするコラム。

血小板数の低下は肝疾患発見のいとぐち

 血液のなかには、赤血球、白血球、血小板という三種類の細胞が存在することは、よくご存じだと思います。といっても、血小板というのは、実は骨髄にいる巨核球という細胞の細胞質の断片ですから、一人前の細胞といってよいかどうか微妙ですが、いずれにしても出血の際の止血、正確には一次血栓形成に活躍する大切な細胞(断片)です。血液検査をした際の血小板数の参考値は、阪大では1マイクロリットルあたり13万から32万個に定めていて、実際は20万台の前半あたりが標準です。

さて、この血小板、もちろん血液の病気で増えたり減ったりするのですが、肝臓の病気で低下するということをご存じでしょうか。慢性の肝臓の病気が進行すると、肝臓に流入する門脈という血管の圧力が上昇し、上流の脾臓が大きくなります。脾臓が大きくなると、脾臓内で血小板が破壊されるので、血小板数が低下し、出血しやすくなるのです。慢性肝疾患の終末像である肝硬変になると、このような門脈圧亢進症による脾機能亢進が起こることは有名なのですが、実はこのように病気が極端に進行しなくても、血小板数の低下は早い段階から徐々に起こっているのです。

 現在、健康診断の受診者の4人に1人に、肝臓の血液検査の異常(血清ALT値の上昇です)や脂肪肝(腹部エコー検査でわかります)がみられるといわれています。脂肪肝は、循環器系疾患を含めいろいろな病気のリスクになるので、異常を指摘された方々は、ぜひ生活習慣の見直しをしていただきたいのです。ただ、このなかに潜む、将来肝硬変や肝癌になりやすい人をどのように見極め、専門医の受診を勧めるかが大きな課題になっています。この時に、参考になるのが血小板値です。残念ながら、阪大の職員定期健康診断の検査項目には含まれていないのですが、多くの職域の健康診断や人間ドックには含まれています。日本肝臓学会では、脂肪肝あるいは血清ALT値に異常のある方で、血小板数が20万未満の場合は、肝硬変に向かっている可能性があると判断し、消化器科への受診をガイドラインで勧めています。

特に18万未満の場合は要注意です。ぜひ、ご自身の健康診断結果を、そのような目で眺めてみてください。

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(本記事の内容は、2022年9月発行の大阪大学NewsLetter87号に掲載されたものです )

■参考URL

大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学

肝疾患、消化管疾患(上部、小腸、下部)、膵・胆道疾患など消化器疾患全般を診療対象に、最先端の医療をみなさまに提供できるよう日々研鑽を積んでいます。大阪大学医学部附属病院の中央診療部門や多数のコメディカルスタッフとの協力のもと、心のこもった医療の実践を心がけています。また、心技体のバランスのとれた医師の育成と、治療の難しい疾患に対する治療法の開発に繋がる基礎研究、臨床研究の推進にも力を入れています。

www.gh.med.osaka-u.ac.jp/index.html

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