しっかり噛める子どもほど運動能力が高い!

しっかり噛める子どもほど運動能力が高い!

大阪市の小学校4年生1,225人を対象にした大規模研究

2026-7-27生命科学・医学系
歯学研究科教授池邉 一典

研究成果のポイント

  • 大阪市の小学生を対象とした大規模研究により、咀嚼能力(食べ物を細かく噛む能力)が高い児童ほど、身体の運動能力が高いことが明らかに
  • 子どもの咀嚼能力と運動能力がどのように関連しているのかは明らかになっていなかったが、咀嚼能力測定用のガムを用いた評価と7種類の体力テストの結果を解析することで解明
  • 学童期における身体の健やかな成長を支えるうえで「しっかり噛める」ことが重要であることが示唆されたことから、学校や家庭における健康づくりに口腔機能の重要性も注目されることに期待

概要

大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の平松里彩さん(博士後期課程)、池邉一典教授、大阪大学歯学部附属病院の髙阪貴之講師、小児歯科学講座の大継將寿助教、仲野和彦教授らの研究グループは、大阪市の小学校4年生1,225人のデータをもとに研究を行い、学童期に咀嚼能力(食べ物を細かく噛む能力)が高い場合、身体の運動能力が高いことを明らかにしました(図1)。

学童期は身体機能が大きく発達する重要な時期です。一方で、咀嚼能力は栄養摂取に重要で、身体の発達とも深く関係していることが知られているものの、子どもの運動能力との関連については十分に検討されていませんでした。

今回、研究グループは、大阪市教育委員会、大阪市学校歯科医会、株式会社ロッテと連携し、大阪市の小学校4年生1,225人を対象に、咀嚼能力と7種類の体力テストの結果を解析しました。その結果、咀嚼能力が高い児童ほど、持久力や敏捷性などの体力テストの成績が良好であり、さらに複数の体力テストを総合した運動能力とも関連することを明らかにしました。

本研究成果は、学童期における身体の健やかな成長を支えるうえで、「しっかり噛める」ことが重要であることを示唆し、学校や家庭における健康づくりに口腔機能の重要性も注目されることが期待されます。

本研究成果は、国際科学誌「Journal of Dentistry」に、2026年7月6日に公開されました。

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図1. 本研究の概要

研究の背景

近年、硬い食べ物を噛めない、うまく飲み込めないなど、口の機能に問題を抱える子どもが増えています。中でも咀嚼能力は、適切な栄養摂取を支え、健やかな成長に重要な役割を果たします。一方、学童期は身体機能が大きく発達する重要な時期であり、運動能力は子どもの成長を反映する重要な指標の一つです。

また、子どもの運動能力には、体格や運動習慣などさまざまな要因が関わることが知られています。しかし、学童期の子どもにおいて、咀嚼能力と運動能力がどのように関連しているのかは、十分に明らかになっていませんでした。

研究の内容

研究グループは、大阪市教育委員会、大阪市学校歯科医会、株式会社ロッテと連携協定を締結(図2)し、大阪市の小学校4年生1,225人を対象に大規模研究を実施しました。咀嚼能力については、咀嚼能力測定用のガム(キシリトール咀嚼チェックガム、株式会社ロッテ)を用いて客観的に評価しました。運動能力については、握力、上体起こし、反復横跳び、20mシャトルラン、50m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げの7種類の体力テストを実施しました。さらに、それぞれの結果を組み合わせ、子どもの全体的な運動能力を評価しました。

解析の結果、咀嚼能力が高い児童ほど、反復横跳び、20mシャトルラン、50m走、ソフトボール投げなど複数の体力テストで良好な成績を示し、7種類の体力テストを総合した運動能力も高いことが分かりました。また、身長や体重など体格の違いを考慮して解析を行った場合でも、咀嚼能力が高いほど総合的な運動能力が高いという結果が得られました。

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図2. 本研究における協力体制

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究成果は、「しっかり噛める」ことが子どもの運動能力と関連する可能性を示したものです。本研究を契機として、子どもの健やかな成長を考えるうえで口腔機能にも着目する視点が広がり、学校や家庭における健康づくりに活用されることが期待されます。

特記事項

本研究成果は、国際科学誌「Journal of Dentistry」に、2026年7月6日に公開されました。

タイトル:“Association between masticatory performance and physical fitness in Japanese elementary schoolchildren: The Osaka MELON Study”
著者名:Risa Hiramatsu, Takayuki Kosaka, Masatoshi Otsugu, Tatsuya Nishimoto, Masayuki Yoshimatsu, Yuki Murotani, Norimasa Sakanoshita, Yasuhiko Ueda, Kazuhiko Nakano, and Kazunori Ikebe
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jdent.2026.106867.

本研究の発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業などはありません。
なお、本研究は、公益財団法人ロッテ財団 奨励研究助成の支援を受けて実施されました。

参考URL

池邉一典教授 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/0cb4cd7825160081.html

仲野和彦教授 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/4914a008eeba8fd0.html

髙阪貴之講師 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/0c5d776e98c6af13.html

大継将寿助教 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/f87c97a2d1b5a55b.html

株式会社ロッテ「噛むこと研究室」 
https://www.lotte.co.jp/kamukoto/

SDGsの目標

  • 03 すべての人に健康と福祉を