「純国産」量子コンピュータ、7月28日稼働!

「純国産」量子コンピュータ、7月28日稼働!

万博会場からクラウド接続し、来場者に新しい“量子体験”も予定!

2025-7-28工学系
量子情報・量子生命研究センター教授根来 誠

概要

7月28日(月)、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)にて、主要部品・パーツやソフトウェアが全て日本製となる「純国産」超伝導量子コンピュータが稼働を開始します。これは、QIQBの根来誠副センター長/教授、理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センターの中村泰信センター長、株式会社アルバックの清田淳也常務執行役員、アルバック・クライオ株式会社の斎藤政通参事、株式会社イーツリーズ・ジャパンの三好健文取締役、キュエル株式会社の伊藤陽介代表取締役、株式会社QunaSysの楊天任CEO、株式会社セックの内田諒主任、TIS株式会社の高宮安仁テクニカルエキスパート、富士通株式会社量子研究所の佐藤信太郎所長らの共同研究グループにより開発されたものです。

本研究では、希釈冷凍機制御装置超伝導量子ビットチップ量子クラウドソフトなどの主要パーツやソフトウェアが全て日本製となる「純国産」超伝導量子コンピュータシステムの開発に成功しました。これにより、日本が量子コンピュータを自製する技術を全て保持し、それらをシステムとして統合できることが示されました。量子コンピュータは新素材、新薬の発見、最適化問題など、地球規模での環境負荷の低減に大きく貢献する可能性を秘めています。また機械学習など、私たちの身近な生活に役立つものもあります。本研究成果はこれらの新しい道を切り拓く一歩であると考えています。

また8月14日~8月20日の期間に大阪・関西万博にて開催される企画展「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」では、純国産超伝導量子コンピュータ機のパーツを展示いたします。この展示では、会場内に設置した端末を通じて、来場者が本システムにクラウド経由で接続し、簡単な量子プログラムを実行することで、量子コンピュータを体験いただく予定です。量子もつれ(エンタングル)などの量子技術を、専門知識の有無を問わず幅広い層の方々に楽しんでいただける場として企画しています。

これに先駆け、7月28日15時から量子研究者・技術者・量子産業従事者を対象に万博のプレ展示・体験会を行います。これは、7月29日から開催される国際シンポジウム「Quantum Innovation 2025」のサテライトワークショップの企画の1つとして開催するものです。ここでは、複数の来場者が同時に最大4量子ビットの動作を体験することができます。

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図1. 純国産量子コンピュータ設置の様子。

大阪・関西万博企画展「エンタングル・モーメント– [量子・海・宇宙]×芸術」と阪大の展示について

企画展「エンタングル・モーメント – [量子・海・宇宙]×芸術」は、8/14~8/20の期間に大阪・関西万博EXPOメッセ「WASSE」にて開催されます期間限定の特別企画です。2025年の「国際量子科学技術年」宣言を記念して開催されるもので、量子のミクロの世界、私たち生命を育む海洋と地球、そして広大な宇宙という3つのテーマを、科学・技術・芸術のコラボレーションを通じて多くの方に体感していただく企画です。今回、この企画展に阪大は量子コンピュータを使った展示を出展します。

純国産機では、来場者に量子コンピュータの操作法や仕組みを学んでいただくことができます。会場に置かれた通常のiPadから、来場者が量子コンピュータにアクセスし操作することができます。iPadから命令を送ると、その命令はオープンソースソフトウェアである量子クラウドソフトOQTOPUSで変換され、インターネットを伝って大阪大学へと送られ、それに基づいて制御装置から制御信号が生成されます。本システムに用いられた国産パーツの展示ブースをQIQBが中心となり様々な企業の協力を得て制作しました。信号がiPadから阪大へと冷凍機の中を走り、量子ビットへと到達する様子をわかりやすく紹介します。ほかにも、「量子オンラインアプリ体験」として、量子理論学習アプリと純国産量子コンピュータをオンラインで接続し、アプリを通じて量子コンピュータを体験いただけます。本アプリは、量子コンピュータの命令である「量子ゲート」をいかに上手に、早く消すかを競いながら、量子理論を楽しく学習できるアプリです。量子理論を知らない方でもお楽しみいただけます。また、量子コンピュータをオンラインで接続することにより、リアルタイムで発生する乱数を活用したQPU(Quantum Processing Unit)プレイヤーとの対戦プレイを体験いただけます。

純国産機の開発のベースとなった「3号機」も万博会場からの操作を行い、量子ビットが最大にもつれた「エンタングル・モーメント」を実現します。8月15日には来場者のスマホから3号機にアクセスし量子もつれ(エンタングル)を作るステージ企画も行います。多摩美術大学情報デザイン学科 久保田晃弘教授とのコラボレーションにより、実機を用いた量子コンピュータアートの展示と、チップ上での量子もつれ状態を体感できるようなアート企画も行います。多数の量子ビットをもつれさせるには量子コンピュータとしての性能を引き上げていく必要があります。4月から8月にかけてその性能が向上していく様子も合わせて、本企画展にて公開します。

※詳細はリンクをご参照ください
https://www.qst.go.jp/site/entangle-moment/

研究の背景

量子コンピュータは、従来のコンピュータでは計算困難な問題でも量子力学の原理を使うことで高速に解けると期待されています。新材料開発、金融、創薬、機械学習などの様々な場面で計算の高速化ができる可能性があるため、国内外の産業界・学術界でユースケース探索が盛んに行われています。

近年、超伝導回路を量子ビットとして採用した量子コンピュータの実験が進展しており、Google、IBM、中国科学技術大学、浙江大学、そしてアメリカのスタートアップであるRigettiが、さらに最近ヨーロッパのスタートアップであるIQMが50量子ビット以上の制御を実現しています。日本では、2023年3月に理研、富士通、阪大、NICT、NTT、産総研の共同開発チームが国産超伝導量子コンピュータ初号機を開発し、50量子ビット以上の制御が達成されました。10月には富士通で2号機が、12月には本学で3号機が稼働しました。その後、理研では144量子ビット機の開発が、富士通では256量子ビットの開発が進められています。さらに、本年3月に産総研に富士通製の量子コンピュータが納入されました。このように日本で着実に大規模化と量産が並行して進められています。

クラウド経由で量子計算を実行するサービスとして、世界ではIBMやアマゾン ウェブ サービス(AWS)により展開されていますが、そのためには様々なソフトウェア群が必要になります。また、理研の初号機では希釈冷凍機を含む一部のパーツに海外製のものが用いられていました。量子コンピュータはその性能ゆえ将来の基幹産業となる可能性は高く、自製する技術を日本ですべて保持し、それらを統合した「純国産」の量子コンピュータシステムを開発することが望まれてきました。

研究の内容

本研究では、希釈冷凍機、制御装置、量子ビットチップ、量子クラウドソフトなどの主要パーツやソフトウェアが全て日本製となる「純国産」超伝導量子コンピュータシステムの開発に成功しました。

初号機では海外製の部品で構成されていた希釈冷凍機、パルスチューブ冷凍機、低雑音電源、低温増幅器、フィルタ、赤外吸収体、磁気シールドが国産部品に置き換えられています。

超伝導型では、量子ビットを-273.14℃(10mK)まで冷却する必要があります。まず、装置全体をパルスチューブ冷凍機で4K程度まで冷やした上で、質量数が異なる2種類のヘリウム(液体ヘリウム4と液体ヘリウム3)を混合するときに生じる吸熱効果を利用して、約-273℃(10mK)まで温度を下げる希釈冷凍機が用いられています。ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6 「超伝導量子回路の集積化技術の開発(プロジェクトマネージャー:山本剛)」にて、アルバックならびにアルバック・クライオがこの開発を担い、完成品が2025年3月に本学に設置されました。

また、超伝導型はマイクロ波によって制御・観測されます。この送受信を担うのが制御装置です。ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6 「スケーラブルな高集積量子誤り訂正システムの開発(プロジェクトマネージャー:小林和淑)」にて、キュエルがこれまでより集積性が高まった新型制御装置を開発し、やはり同3月に本学に設置されました。7月28日時点で28量子ビット以上の制御が可能な制御装置が揃っています。

前述のとおり、理研では144量子ビット機の開発が文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)「超伝導量子コンピュータの研究開発(研究代表者:中村泰信)」にて進められていますが、このためのチップが本システムにも提供されています。7月28日時点では144量子ビット中28量子ビットに低温配線が接続されています。ムーンショット型研究開発事業が終了する10月末までに100量子ビット弱の配線へと拡張され、実験を行う予定です。
量子コンピュータは量子ビット、制御装置、冷凍機だけでは動きません。ソフトウェアを整備する必要があります。以降説明するようにシステムのソフトウェアとしては様々な層を開発していく必要があり、持続可能的な開発が望まれています。このための一つの解が、オープンソースソフトウェアで開発することで、様々なデベロッパーを巻き込んでいくという手法です。本システムのソフトウェアの全てが国内でオープンソースソフトウェアとして開発されました。ユーザが実現したいアプリケーションを入力する量子回路用ソフトにはQURI Partsが用いられています。フロントエンド層、クラウド層、バックエンド層をつなぐソフトウェア群にはOpen Quantum Toolchain for OPerators and USers (OQTOPUS)を用いています。マイクロ波の強度や周波数を校正するキャリブレータソフトが必要です。大規模化に対応するため、QDashがパルス実験用のソフトを叩いて自動で大規模に実行する形式となっています。パルス実験用ソフトは本学基礎工学研究科藤井研究室の学生である町野明徳が開発・整備をしているqubexが用いています。さらに下位に、マイクロ波処理用ソフトqubecalib、制御装置用ソフトquelware、FPGA用ソフトe7awg_swがあって、ユーザのアプリケーション通りに制御装置を、ひいては量子コンピュータを動作させることができています。本システム最大の特徴は全てのスタックがオープンソースソフトウェアで構成されている点であり、世界でも類を見ません。今後、様々なデベロッパーを取り込み持続可能な開発を行っていくことができると期待されます。

7月上旬の時点で8量子ビット分のキャリブレーションを行い、2量子ビットの量子もつれ状態のデモンストレーションなどが完了したことを受け、クラウドからの接続テストを行い、3号機同様にサービス利用が可能であることを確認しました。7月28日に当該分野の量子研究者・開発者に向けて、プレ展示・体験会を行います。

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図2. 純国産量子コンピュータの国産パーツ一覧

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図3. 量子コンピュータシステムを構成するソフトウェアのスタック。全てがgithubで公開されたオープンソースソフトウェアである。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究成果は、日本が量子コンピュータを自製する技術をすべて保持し、それらをシステムとして統合できることを示しました。50量子ビット制御が実現できている前述の欧米の他チームは全てプライベートセクターです。これに対して、日本ではパブリックセクターでシステム統合が実現できていることになります。ソフトウェアは世界でも類を見ないオープンソースでの実現に成功しています。本システムは量子コンピュータが将来の基幹産業となる時代に向け、様々な企業が参画できるオープンなテストベッドとなると期待されます。量子コンピュータは新素材、新薬の発見、最適化問題など、環境負荷の低減に貢献するものであり、機械学習など生活に役立つものもあります。本研究成果はこれらの新しい道を切り拓く一歩であると考えています。

より具体的に本システムが直近どのように利用されていくかを説明します。これまで、QIQBでは40機関が参画する「量子ソフトウェアコンソーシアム」のグループワークに参加する受講者を対象に、国産3号機を用いてのユースケース探索を、4量子ビット分での小規模な試験から始め、グループワークから実際に共同研究へと発展した企業に対してクラウド提供を行ってきました。3号機にOQTOPUSをインストールした4月から少しずつ提供qubit数を増やしていき、7月18日時点で最大42量子ビットの提供を行っています。また、本学のスタッフや学生が研究へと使用し、最大50量子ビットが同時に稼働できていて、1量子ビットゲート忠実度の中央値は99.9%、2量子ビットゲート忠実度の最大値98%、中央値96%程度での実験を行っているところです。5月から6月の1か月間で31日24時間のうち稼働率は86%と高いものでありました。QIQBでの2台目の整備が待ち望まれていました。図4に提供qubit数の推移と、2量子ビット間の結合度、ならびに実機使用時間を示しています。

純国産システムは、大阪・関西万博での企画展「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」(会期:8/14~8/20)にてクラウド接続し、来場者は使用体験することが可能となります。最大4量子ビットの量子アルゴリズムの動作を複数の来場者が同時に体験できるように整備しています。万博での企画展示が終わったのちに順次量子ビット数を増やしていきます。ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6 「超伝導量子回路の集積化技術の開発(プロジェクトマネージャー:山本剛)」の共同研究者にもクラウドを経由して使ってもらえるようにします。これを通して量子誤り訂正の実証実験を進めます。

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図4. 国産3号機の提供qubit数の推移と、2量子ビット間の結合度、実機使用時間

特記事項

本研究成果は、科学技術振興機構(JST) ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6 「超伝導量子回路の集積化技術の開発(プロジェクトマネージャー:山本剛)Grant No.JPMJMS2067」ならびに「スケーラブルな高集積量子誤り訂正システムの開発(プロジェクトマネージャー:小林和淑)Grant No.JPMJMS226A」、共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)「量子ソフトウェア研究拠点(研究代表者:北川勝浩)Grant No.JPMJPF2014」、文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)「超伝導量子コンピュータの研究開発(研究代表者:中村泰信) Grant No.JPMXS0118068682」、「知的量子設計による量子ソフトウェア研究開発と応用(研究代表者:藤井啓祐)Grant No.JPMXS0120319794」、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期 「先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進」(研究推進法人:QST)の研究チームの一つ「国産量子コンピュータによるテストベッドの利用環境整備と運用(研究開発責任者:萬伸一)」によって実施されました。

関連イベント

<Quantum Innovation 2025>
Quantum Innovationは、日本政府、研究機関、および、国内産業アライアンスが主催する国際シンポジウムであり、量子科学と技術における革新的なアイデアを発表・交換する多分野の研究者が一堂に会することを目的としています。量子コンピューティング、量子センシング、量子暗号、量子通信など、量子科学と技術における最新の成果、動向、そしてニーズなど、幅広いテーマを取り扱っています。2021年から毎年開催されており、今年は国際量子科学技術年(IYQ)から国内唯一のIYQ Global Eventとして承認されたイベントとなり国内外の著名な研究者が招待されています。
会期: 2025年7月29日-8月2日
場所: コングレスクエア・グラングリーン大阪
対象: 量子研究者ならびに量子技術者・量子産業従事者
ジェネラルチェアー: 北川勝浩(大阪大学QIQB)
ローカルオーガナイジングコミッティ: 山本俊(大阪大学 QIQB)
招待講演者: Artur Ekert, Michelle Simmons, Isaac Chuang, Yasunobu Nakamura, Koji Hashimoto, Hidetoshi Katori他
リンク: https://www.qi2025.jp/

<Quantum Innovation 2025サテライトワークショップ>
ワークショップ名: QI2025 Satellite Workshop on Practical Quantum Computing
会期: 2025年7月25日-7月28日
場所: 大阪大学豊中キャンパス
対象: 量子研究者ならびに量子技術者・量子産業従事者
オーガナイザー: 藤井啓祐(大阪大学QIQB)他
リンク: https://qi2025satellite.github.io/

SDGsの目標

  • 07 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 09 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 13 気候変動に具体的な対策を

用語説明

量子コンピュータ

量子力学の原理に従って動作する量子ビットを情報の最小単位として計算を行うコンピュータ。従来のコンピュータにはない量子重ね合わせや量子もつれを利用することで、分子中の電子状態などの量子的な振る舞いを効率的にシミュレーションすることや機械学習、素因数分解など、さまざまな問題を高速で解けると期待されている。

参考:◆大阪大学 究みのStoryZ「量子コンピュータの実用化は2030年?」

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2023/nl89_research02

◆あなたと量子~“新鋭”のスペシャリテ~

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/feature/specialite_002n

◆量子コンピューターの実用化で、高度な社会問題を解く。実機にアクセス可能、確かな手応えが大阪大学に。

https://dialogue.osaka-u.ac.jp/182/

希釈冷凍機

質量数が異なる2種類のヘリウム(液体ヘリウム4と液体ヘリウム3)を混合するときに生じる吸熱効果を利用して、約-273℃(10mK)まで温度を下げる冷凍機。

制御装置

量子コンピュータは大きく分けて、量子ビットチップ、冷凍機、制御装置、そして、ソフトウェアから構成される。制御装置はソフトウェアからの命令に基づき、量子ビットが理解できる信号に変換する装置を指す。超伝導量子ビットではマイクロ波によって操作・観測されるため、制御装置はマイクロ波信号を処理する装置となる。

超伝導量子ビットチップ

超伝導材料を用いた電子回路上で、ジョセフソン接合というトンネル接合素子を用いて量子ビットを実現する量子コンピュータの方式。量子ビットとは0と1の重ね合わせ状態を許す量子力学に従うビットを意味する。量子ビットの「0と1」を表すエネルギー差のスケールが小さいため、約-273℃(10mK)まで冷却して、熱雑音を抑える必要がある。

量子クラウドソフト

量子コンピュータはハードウェアだけでなく、ソフトウェアがないと動かない。ソフトウェアはシステムソフトとアプリケーションソフトに分けられる。さらにシステムソフトは、ユーザーが量子回路を描くための基本ソフト、実験室で制御装置に命令を送るためのソフト、そして量子クラウドソフトがある。量子クラウドソフトはユーザー、クラウド、実験室のバックエンドサーバの間で命令をやり取りし管理するソフトである。大阪大学は量子クラウドソフト「OQTOPUS」をオープンソースソフトウェア(OSS)として開発に成功した。

◆世界最大規模!量子コンピュータ・クラウドサービス向けの基本ソフトウェア群をオープンソースとして公開・運用開始

https://qiqb.osaka-u.ac.jp/newstopics/pr20250324

OSSとは、ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用できるソフトウェアのこと。従来コンピュータではLinuxを初めとして様々なOSSが根幹を支えている。ほとんどの量子コンピュータクラウドでは根幹部のコードは公開されていない。OQTOPUSは世界最大規模の量子OSSとなる。

量子もつれ(エンタングル)

量子もつれした状態とは、二つの量子ビット(粒子や光子、超伝導回路などで構成される)のうちの一方の状態を観測した際に、もう片方がその量子ビットの状態と必ず逆の状態が現れるような強く相関した状態のことで、古典力学や古典電磁気学では説明できない状態。

国際量子科学技術年

1925年、ハイゼンベルグが発見した行列形式の量子力学の理論に始まりまとめられた新たな物理学である「量子力学」が誕生してから、今年で100年を迎えた。2024年6月7日、国連は2025年をユネスコの「国際量子科学技術年(IYQ)」とすることを宣言した。阪大QIQBはIYQの日本で最初の公式パートナーに就任している。

https://qiqb.osaka-u.ac.jp/newstopics/pr20250128

量子力学誕生100年を迎えた「量子」をテーマにした、4月14~20日の第66回科学技術週間における学習資料「一家に1枚 量子と量子技術~量子コンピュータまでの100年!~」をQIQB副センター長の山本俊教授が監修代表を務めた。

https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01496.html

https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2025/04/01003

3号機

2023年3月27日、理研にて国産超伝導量子コンピュータ初号機が稼働し、同年10月5日に富士通株式会社が理研と共同して2号機の開発に成功、12月22日、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)で3号機が稼働した。