透明な太陽電池の開発

透明な太陽電池の開発

赤外光エネルギー変換

2024-5-15工学系
産業科学研究所教授坂本雅典

研究成果のポイント

  • 赤外光で発電する透明な太陽電池の開発
  • まだ開発されていない太陽エネルギー資源である、赤外光のエネルギー資源化

概要

大阪大学産業科学研究所の坂本雅典教授は、未開発の太陽エネルギー資源である赤外光のエネルギー資源化を進めています。地表に到達する太陽光のおよそ半分は赤外域の太陽光(赤外光)です。しかしながら、赤外光を捕集し、人類に有用な電気・化学エネルギーに変換することは非常に困難であり、人類はもとより、長い太陽光利用の歴史をもつ植物でさえ成し遂げていません。赤外域の太陽光の有効利用法が開発されれば、光合成や太陽発電などに匹敵する新たな持続可能なエネルギー資源の開拓につながります。

坂本教授の研究グループは、赤外域の光を選択的に捕集し、エネルギーに変換する技術(局在表面プラズモン共鳴を示すヘビードープ半導体ナノ粒子による赤外光―エネルギー変換)の開発を進め、世界最高の効率で赤外光の化学エネルギー変換に成功しました。また、赤外光が目に見えない事を利用した透明な太陽電池の開発にも成功しています。赤外域の太陽光で発電する透明な太陽電池は、住宅やビルの窓ガラスなど、既存の太陽電池が設置できなかった場所に設置することができ、社会実装が実現すれば街全体が発電所となり、今までにないエネルギー生産の技術となります。一連の発見は、赤外光のエネルギー資源化へのブレイクスルーとなり、クリーンで持続可能な太陽エネルギーを余すことなく使用する新たな未来を切り開くことが期待されます。

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参考URL

金属有機融合材料研究分野(坂本研)
https://www.sanken.osaka-u.ac.jp/organization/sec/sec02.html