大阪万博に向けて!歯科診療ビッグデータ構築基盤の運用開始

2020-3-26生命科学・医学系

ポイント

・歯科診療の効率性や安全性をより向上させるには、まず診療中のあらゆる情報をデジタル化し蓄積し、高速に分析するための基盤が必要
・歯科診療において、IoTセンシングデータと膨大な診療中の映像を学習させた「歯科診療認識AIチェアユニット」の開発をスタート
・歯学部附属病院は、同大学で開発したAIとモリタ製作所が開発したIoTセンシング付き歯科用チェアユニットとの統合を行い、大阪万博までに歯科診療ビッグデータ構築基盤の整備を目指す。

概要

大阪大学歯学部附属病院(病院長:村上伸也)、株式会社モリタ(社長:森田晴夫)、株式会社モリタ製作所(社長:塚本耕二)は、歯科診療におけるIoTセンシングデータと膨大な診療中の映像をAIにより学習させた「歯科診療認識AIチェアユニット」の開発をスタートしました。

将来的には「歯科診療認識AIチェアユニット」を普及させ、世界中の歯科診療状況をモニタリングしたビッグデータを集積し解析することにより、診療の効率化と医療安全向上の両立を目指します。

図1 IoT化された歯科用チェアが臨床現場からあらゆる事象をセンシングし、歯科診療状況が克明にデータとして蓄積可能

研究の背景

昨今の歯科医療では、医療情報を安心・安全な形で再利用(二次利用)し、社会的課題の解決に役立つ新しい医療サービスを生み出そうとする動きが活発化しています。特に医科領域では、IoTやAIなどの情報技術を用いた疾患の予防・診断システムの開発が医療施設と企業との連携によって急ピッチで進められています。一方歯科領域では、超高齢社会化への対応や多様性の受容などの社会的課題に対応する歯科医療の重要性が高まっているものの、課題解決に利用できる歯科診療状況を俯瞰するために必要となるデータの蓄積が十分になされていません。

この現状に対して大阪大学歯学部附属病院は、株式会社モリタ、株式会社モリタ製作所との産学連携により、歯科医療と情報機械技術の融合による歯科診療状況データの蓄積と利活用を行い、診療の効率化と安全性の向上の両立を目指します。その具体的な試みとして、あらゆる歯科診療中の出来事を克明に記録可能な「歯科診療認識AIチェアユニット」を開発し、得られるデータから自動的にカルテを作成し、診療の効率化を図ると同時に、患者の状態を見守ることにより、とっさの異常に対応する等の医療安全向上を目指します。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

「歯科診療認識AIチェアユニット」は、独自のセンシング技術によりカメラやチェアなどのIoTデバイスを介して収集されたデータ(例えば歯科用チェアユニット背もたれの角度やインスツルメントの使用状況といった情報)を用いて、歯科診療ビッグデータ構築基盤上で開発されたAIにより、リアルタイムに計算・解析処理を行い、より安全で効率的な歯科診療を支援する次世代の歯科用チェアユニットシステムです。現在、大阪大学歯学部附属病院では、歯科処置におけるプロセスをAIが認識し、様々な歯科処置(う蝕や根管処置等)内容を自動で推定する取り組みが行われています。このAIは、IoTセンシング機能を持つ新型歯科用チェアユニットから得られるセンシングデータを取り込んで機能拡充と精度向上が行われる予定です。これらの取り組みによって、より安全で効率的な歯科診療技術(診療時間の短縮)と、患者様に最適な診療の提供を実現します。

村上病院長は「モリタグループとの歯科診療認識AIチェアユニットの開発は、2025年の大阪万博に向けて、我々が未来の歯科医療を提案することに繋がると考えています。このシステムを活用する日がくれば、日本の超高齢社会や多様性の社会に適応した歯科医療が提供できると考えています。」と述べています。

なお、本構想は、株式会社モリタと株式会社モリタ製作所との共同研究の一環として推進されます。

参考URL

大阪大学歯学部付属病院 HP
https://hospital.dent.osaka-u.ac.jp/

用語説明

IoT

様々なモノをインターネットにつなぎ、それらのモノが人手を介さずに通信すること

AI

人工知能(Artificial Intelligence)、コンピューターに人間と同様の知能をもたせたもの