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アレルギー、なぜ起こる?

「ちょっとミミヨリ健康学」Column Entry No.007

医学系研究科 教授 熊ノ郷 淳

身近な健康・医療情報を、大阪大学の研究者がちょっとミミヨ リとしてお届けするコラム。


先進国と呼ばれる国や衛生状態のよいとされる地域で近年アレルギーが増えているとよく耳にします。身近なアレルギー疾患である花粉症のほかにも、喘息、アトピー性皮膚炎、食事アレルギー、最近では果物アレルギー等、、、。どうして、このようにアレルギーが増えているかについては諸説ありますが、その理解のためには免疫の仕組みを知る必要があります。

免疫はその言葉の通り、私たちの体が病から免れるために生まれながらにもっている仕組みです。その本体は白血球(リンパ球)と呼ばれる血液中を流れている細胞です。免疫の役割は、基本的に「我々の体の外にある有害な異物(ウイルス、細菌、寄生虫、真菌など)から身を守るための仕組み」です。ところが、花粉、埃、食物など、確かに異物には違いないけれども、無害な異物に対して、過剰に反応してしまうのがアレルギー疾患です。

例えば、花粉が目や鼻に入ると涙や鼻水が止まらない~~これはどういうことかというと、無害な花粉に対して過剰にそれを涙や鼻水で体外に出そうとしている訳です。食物も異物ですが、私たちにとっては有益かつ必要なものです。でも嘔吐、下痢を起こしてしまうこともある~~これは何をしているかというと、過剰に体外に排出しようとしている訳です。

アレルギーは起こる場所によって、アレルギー性鼻炎、アレルギー性気管支炎等、病名はそれぞれ異なります。免疫の体質(Ⅱ型のヘルパーTリンパ球)、IgEと呼ばれる抗体、肥満細胞の3つの基本メカニズムによって起こると考えられています。なぜ近年アレルギーが増えているかに関しては「衛生仮説」と呼ばれる説があります。簡単に言うと、衛生状態がよくなり、子供の頃からの感染の機会が減ることにより、Ⅱ型のリンパ球が増えているという説です。衛生状態がよくなったことで、アレルギー疾患は増えてしまったのかもしれませんが、その代わり、感染症で命を失う子供は減っているわけでジレンマがあるとも言えます。

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最近、従来のステロイド、抗アレルギー薬(飲み薬、吸入薬など)に加えて、Ⅱ型のTリンパ球の働きやIgE抗体の働きを抑えるような注射薬が登場して大きな話題になっています。高価な薬ですし、また長期に投与されることになりますので、安全性に十分に留意する必要がありますが、その効果が期待されるとともに、今後も次々に新しいお薬が登場すると言われています。

● 大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫内科学研究室

当教室では、大阪大学医学部附属病院にて「呼吸器内科」、「免疫内科」、「癌免疫外来」を担当しています。診療の内容については、Webページをご覧ください。


(本記事の内容は、2021年2月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)