2015年5月20日

本研究成果のポイント

・難治性消化器克服の新しい医療ツール候補として、核酸医薬品のシーズとなるマイクロRNAの役割を解明
・このシーズを応用することで、癌細胞が再プログラム化され、悪性度が抑制される
・毒性等が軽減されることから、革新的な医療の創出に繋がる可能性を秘めるものと期待

概要

大阪大学大学院医学系研究科の石井秀始特任教授(常勤)、小川久貴大学院生(当時博士課程4年)、森正樹教授、土岐祐一郎教授、同研究科保健学専攻の山本浩文教授、薬学研究科の小比賀聡教授らの研究グループは、難治性消化器を克服するための新しい医療ツールの候補として、核酸医薬品のシーズとなるマイクロRNAの役割を明らかにしました。RNAの中でもサイズの小さなマイクロRNAは、生命現象や疾患の機能で鍵を握るもととして注目されています。マイクロRNAが内在性(生体または細胞の内部で生産される)のものであり、毒性等はかなり軽減されることから、これをシーズとして医薬品を創薬することで、革新的な医療の創出に繋がる可能性を秘めるものと期待されます。

なお、本研究成果は米国科学誌「PLOS ONE」のオンライン版で5月13日に掲載されました。

研究の背景

ヒトのゲノムはDNAでできています。そのDNAからRNAが転写されて作られています。RNAから蛋白質が合成されます。21世紀になり、RNAの中でもサイズの小さなマイクロRNAが生命現象や疾患の機能で鍵を握るもととして注目されています。マイクロRNAは蛋白質そのものを合成するためのコード情報を持ちませんが、他の機構のチューニングに働き、生命現象の厳密さを制御する上で重要な役割を担います。

今回の研究では、特殊なマイクロRNAを人工合成して癌細胞に投与したところ、試験管内および動物実験において、癌の抑制に働くことを明らかにしました。すなわち、癌細胞の転移・浸潤等の悪性プログラムがエピゲノムレベルで改変されて、分化の方向性が大きく変化しました。マイクロRNAはヒトの細胞のゲノムにコードされているため、想定外の毒性等は体内に存在しない物質に比較して軽減されていると考えられることから、核酸医薬品のシーズとして有望であると考えられます。

体内に内在するマイクロRNAを人工的に合成して、従来の抗がん剤や放射線療法に上乗せして難治がんの根絶を目指す、新しい治療法の開発研究の概観図。人工マイクロRNAをDDSに搭載してがんの局所に到達させるイメージを示す。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

核酸医薬品の重要性は最近特に注目されています。
(公益社団法人ヒューマンサイエンス財団:調査報告書 http://www.jhsf.or.jp/paper/report/report_no82.pdf

マイクロRNAは、内在性のものであり、これをシーズとして医薬品を創薬することは革新的な医療の創出に繋がる可能性を秘めるものとして期待されます。

特記事項

本研究は、東京大学、東京工業大学、金沢大学との共同研究です。

参考URL

研究室HP
http://www001.upp.so-net.ne.jp/CancerProfiling/index.htm

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