2013年5月9日

リリース概要

大阪大学産業科学研究所 能木雅也准教授らの研究グループは、折り畳んでも電気を流し続ける「導電性折り紙」を開発しました。この折り紙は、セルロースナノペーパー※1と銀ナノワイヤ※2からできており、複雑に折り畳んでも導電性が失われません。そこで、導電性折り紙を折り畳んだ「折り鶴」を導線として使用すれば、LEDライトを点灯することができます(図1)。この材料は“折り紙エレクトロニクス”という新しい概念を切り拓き、ウェアラブルなコンピュータやメディカルセンサーなどを実現するでしょう。その端緒として、私達は折り畳み可能な高感度ペーパーアンテナの開発に世界で初めて成功しました(図2)

研究の背景

スマートフォンなど私達が持ち運ぶ電子デバイスは、デバイス内部へ数多くの部品が高密度に実装され、軽量化・薄型化が進んでいます。さらなる軽量化・薄型化を進めるためには、折り畳み可能な配線を開発し、それらの部品を立体的に接続する必要があります。そして、最近の電子デバイスの多くは、電気信号を送受信するアンテナが装備されています。しかし、電子デバイスの軽量化・薄型化が進んでいるため、装置のなかにアンテナ部品を挿入する十分なスペースが残っていません。したがって、部品の隙間に押し込めるような、折り畳み可能なアンテナが必要とされています。そこで私達は、日本で古来より親しまれている“折り紙”に着目し、折り畳める導電性ペーパーならびに折り畳めるペーパーアンテナを開発しました。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

「導電性折り紙」を使うと、ガラスやシリコンウェハといった重い基板材料が不要になるため、電子デバイスは軽くなります。さらに、複雑に折り畳んでも電気を流し続けるため、折り畳み可能な電子デバイスの実現が可能になります。

この技術は、“折り紙エレクトロニクス”という新しい概念を切り拓くでしょう。“折り紙エレクトロニクス”は、センサやカメラ、ディスプレイといった電子デバイス体に装着できるウェアラブルデバイスを実現します。例えば、ウェアラブルセンサを身にまとって生活すると、センサが私達の健康状態をチェックし、必要に応じて、ウェアラブルアンテナがその情報を家族や医療機関へ送信します。もしこのような社会が実現すれば、病院に通う必要がなく、身にまとうだけで健康になる衣服ができるかもしれません。

参考図

図1 導電性折り鶴によるLEDライトの点灯

図2 折り畳んでも高いアンテナ特性を保持するペーパーアンテナ

用語解説

※1 セルロースナノペーパー
幅30nmの微細なセルロース繊維を使って製造した紙。私達が使用している普通紙は、幅15-30μmのセルロース繊維(パルプ繊維)からできています。ナノペーパーは、この紙と同じ方法で製造されており、繊維の太さが違うだけです。ナノペーパーは細い繊維を使用しているため空隙がなく、表面が非常に平滑です。これらの特性が電子デバイス用途に適しています。

※2 銀ナノワイヤ
幅100nm・長さ5-10μmの微細な銀ワイヤーです。このナノワイヤをナノペーパーに印刷すると、高い導電性と高いアンテナ特性を示します。さらに、ナノペーパーとの密着性に優れているため、折り畳んでも剥離しません。

特記事項

本研究は、最先端・次世代研究開発支援プログラムにより、助成を受けたものです。

本件は、英国王立化学協会(RSC:Royal Society of Chemistry)の発行する学術雑誌Nanoscaleへの掲載が決定されています。そして、特筆すべき研究成果の一つに選ばれ、5月1日に英国王立化学協会からweekly RSC Publishing press packとして世界中の科学ジャーナリストへ配信されました。

参考URL

http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/jp/organization/srp/srp_02_03.html

http://www.nogimasaya.com/

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