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超緊急疾患“脳卒中”とは

ちょっとミミヨリ健康学 Vol.1

医学部附属病院脳卒中センター・センター長/医学系研究科・教授・望月秀樹

身近な健康・医療情報を、大阪大学の研究者がちょっとミミヨリとしてお届けするコラム。

超緊急疾患“脳卒中”とは

超緊急疾患“脳卒中”とは ― Time is brain ― 脳卒中から脳を救うためには一刻の猶予もありません

―脳卒中とはどんな病気ですか?

脳卒中とは、①脳に栄養を送る血管が閉塞して脳組織が傷害される脳梗塞、②血管が破綻して起こる脳出血、③動脈の瘤が破裂するくも膜下出血の総称です。突然発症するのが特徴で、その7割は脳梗塞です。

―脳卒中の症状とはどういうものですか?

突然、片側の腕や足、顔の運動麻痺、言葉の異常、片側の視野の異常で発症します。重症の場合は、意識障害や両側眼球の片側への偏位が見られます。また、くも膜下出血の場合にはこれまで経験したことがないほどの激しい頭痛が突発します。

―脳卒中を疑ったらどうすれば良いですか?

脳卒中は発症後できるだけ早くに治療を開始すれば、劇的に症状が改善したり、後遺症をかなり軽減できたりします。前に述べたような症状が出ておかしいなと思ったら、すぐにかかりつけ医ではなく救急隊(119)に連絡することが大事です。救急隊は、脳卒中の治療を迅速に行える脳卒中センターを把握しており、直ちに搬送してくれます。脳卒中、とくに最も多い脳梗塞の治療は1分1秒を争いますので、救急隊をすぐに呼ぶことが肝要です。医療過疎地であってもドクターヘリが利用できる地域が拡がってきていますので、適切な病院に搬送できる体制が整いつつあります(Fig1)。

脳卒中センターのある病院に一刻も早く到着できれば、閉塞した血栓を溶解できる薬やカテーテル治療の進歩により、迅速に高率に閉塞した血管を再開通させることができるようになっています(Fig2)。この処置を脳組織がもう元に戻らない傷害を受けてしまう前に受けることで、症状の軽減が得られ、その後の生活の質が大きく変わってくることになります。

―大阪大学病院では脳卒中を見てもらえますか?

大阪大学医学部附属病院脳卒中センターでも24時間専門医による緊急治療を行える体制を構築し、少しでも多くの脳卒中患者さんを元の生活に戻って頂けるように、日々邁進しています。

●大阪大学医学部附属病院脳卒中センター

高度救命救急センターを窓口とし、24時間体制で高度救命救急センター、脳神経外科、神経内科・脳卒中科の医師が待機し、脳卒中の患者さんを受け入れる。老年・高血圧内科、放射線部、リハビリテーション部、看護部、保健医療福祉ネットワーク部などと連携、地域医療機関と協力して、再発予防、リハビリテーションや患者さんの家庭復帰、社会復帰を目指す。

センター長/大阪大学大学院医学系研究科神経内科学 望月秀樹 教授

(本記事の内容は、2018年2月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)