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【お口の相談コーナー】子どもに障害があり、歯の治療が苦手なのですが?

障害者歯科治療部・秋山 茂久

【お口の相談コーナー】子どもに障害があり、歯の治療が苦手なのですが?

【お口の相談コーナー】子どもに障害があり、歯の治療が苦手なのですが?

歯学部附属病院
障害者歯科治療部 秋山 茂久

障害のある患者さまやご家族から「近くの歯科医院で診てもらえない」ということをよくお聞きします。当院では一般の歯科医院での対応が難しい、さまざまな障害のある方々を対象に障害者歯科治療部が歯科診療を行なっています。

知的な障害のある方では、歯科治療の重要性が理解できず、また過去のいやな経験から歯科治療をうまく受け入れられないことがあります。障害者歯科治療部では、まず診療室、スタッフ、器具や治療法について時間をかけて慣れてもらうことを中心に診療を進めています。時間はかかるかもしれませんが、信頼関係を構築することが口と歯の健康を守るためには大切であると考えています。治療の方法や順番を伝えるための絵や写真などを用いて、納得しながら治療を受け入れられるような配慮を行っています。

また知的障害が重度であったり、脳性麻痺などでじっとしていることが難しい方や、手足に麻痺があり治療中の姿勢を保つことが困難であったりする場合には、安全性のために、クッションやベルトなどを用いて、からだの動きをコントロールさせていただくこともあります。

さまざまな対応を行っても歯科治療が困難な方には、歯科麻酔科の協力の下、鎮静や全身麻酔を行うことも可能です。知的な障害がなくても、歯科治療恐怖症や嘔吐反射の強い方にはそのような対応も可能です。

障害があってもなくても、食べることは非常に楽しいことであり、お口や歯の健康は問題があってからではなく、日ごろから気にかけておくことが重要です。最近では日本障害者歯科学会の認定を受けた歯科医師も増えており、日本障害者歯科学会のホームページで検索もできます。歯科医師会が中心となった障害者歯科センターも多く開設されており、障害者の歯科保健も充実してきています。お近くの歯科医院で相談だけでもされることをお勧めします。

(2016年4月「大阪大学歯学部附属病院広報誌 NewsLetter vol.07」より)

(2016年4月取材)