2019年9月5日

研究成果のポイント

・今まで、体型の見た目を良くする服装コーディネートは主観的な経験則に頼るのみだった
・心理物理学の実験方法と厳密な3Dコンピュータグラフィックスにより、服装による体型の見た目の変化を科学的に測定することを実現
・ファッションによる見た目の変化の科学的評価とファッションの科学的開発を可能にする

概要

大阪大学大学院人間科学研究科の森川和則教授らの研究グループは、服装による体型の見た目の変化量(着やせ錯視効果、脚長錯視効果など)を科学的・定量的に測定する方法を世界で初めて開発しました。

これまで体型の見た目を良くする服装コーディネートには客観性・科学性がほとんどなく、スタイリストの主観的な経験則やメーカーの広告を信じるか、自分のセンス・感覚・勘に頼るしかありませんでした。

今回、森川教授らの研究グループは、心理物理学の実験方法と厳密な3Dコンピュータグラフィックスを組み合わせることにより、服装によって体型の見た目が何センチ変わって見えるかを科学的に測定する技術を実現しました。これにより、例えば着やせ錯視効果を発揮する服装、脚を長く見せてくれる服装に科学的根拠と定量的裏付けを与えることができるようになります。また、これらの知見を基にして効果的なファッションの開発を科学的に行うことも可能になり、ファッション業界に革命をもたらす可能性があります。

本研究成果は、日本心理学会第83回大会(会場:立命館大学大阪いばらきキャンパス)にて、9月13日9時~11時(日本時間)に発表されました。今回発表した研究成果を下記にまとめます。今回の研究はほんの手始めであり、この実験方法を用いれば、将来的にいかなるファッションの体型錯視効果をも測定することができ、可能性は無限にあると言えます。

実験方法

日本人女性の平均体型(産業技術総合研究所のデータベースに基づく)に服を着せた画像(標準刺激)と様々な体型にグレーの全身タイツを着せた画像(比較刺激)をペアにして実験参加者に提示し、どちらがよりスリムに見えるかなどを判断させます。階段法と呼ばれるアルゴリズムを用いて、判断に応じて比較刺激を次々と変化させていき、標準刺激と同じ体型に見える比較刺激の体型を算出します。

実験1 シャツのタックインによる着やせ錯視量の測定

標準刺激

比較刺激の例(数字はバスト・ウェスト・ヒップのサイズ、実際は2cmステップで変化させた)

実験結果

結論:白い服と比べて黒い服ではスリーサイズは各1.8cm細く見え、タックインするとさらに各1.3cm細く見えます。「白・タックインなし」と比べて、「黒・タックインあり」では各3.1cm細く見えます。

実験2 シャツのタックインによる脚長錯視量の測定

標準刺激

比較刺激の例(すべて身長は158cm。数字は脚の長さ、実際は1cmステップで変化させた)

実験方法は実験1に準じました。

実験結果

結論:タックインするだけで脚は7cmも長く見えます。

なお、本研究は、日本学術振興会からの科学研究費補助金(研究代表者:森川和則)により助成されています。着衣人物の3Dコンピュータグラフィックスはデジタルファッション株式会社の協力により作成されました。

参考URL

大阪大学 大学院人間科学研究科 人間行動学講座 基礎心理学研究分野
http://kiso.hus.osaka-u.ac.jp/index.html

この組織の他の研究を見る

Tag Cloud

back to top