生命科学・医学系

2018年3月6日

研究成果のポイント

・色素や造影剤を使わない「ラベルフリー」の光学測定法を開発し、免疫細胞(マクロファージ)の活性化測定に成功した
・この光学測定による単一細胞レベルでの形態観察および細胞内分子の測定が可能である
・本測定により、細胞活性化のシグナル伝達系における異なる状態が区別可能である
・特定の活性化経路を阻害することで、選択的分子の発現を示す活性化状態が観察可能である

概要

Nicolas Pavillon助教、Nicholas I. Smith准教授(免疫学フロンティア研究センター生体フォトニクス研究室)らの研究グループは、外部から色素や造影剤を添加せずに免疫細胞の非侵襲的測定を可能にするマルチモーダル顕微鏡プラットフォームを開発しました。これらの測定値から抽出されたパラメータは、機械的アルゴリズム(ディープラーニング)を用いて、リポ多糖類(LPS)投与時のマクロファージ活性化など細胞応答の解析を可能にします。同グループは、こうした非侵襲的光学的手法により、単一細胞レベルでの活性化および部分的な活性化阻害が観察できることを示しました。

研究の背景

ラベルフリーの光学測定は、非侵襲的に試料を観察する手法として発展してきました。一方で、定量位相顕微鏡法※1やラマン分光法※2などの技術は広く用いられてきたものの、通常、細胞の形は分かっても、細胞の活性状態の測定は困難でした。

今回の成果

今回開発した研究アプローチは、試料の内在的なコントラスト、すなわちその表現型および細胞内の全分子の量に基づく非侵襲的技術に基づくものです。これまでは個々の細胞応答ではなく細胞集団レベルで試料を測定することが多かったのに対し、単一細胞レベルでの測定を可能とし、集団内の個々の細胞間相互作用の研究を可能にします。

論文の情報

雑誌: Proceedings of the National Academy of Science of the USA; PNAS (2018年3月6日 掲載)
タイトル: “Noninvasive detection of macrophage activation with single-cell resolution through machine learning”(ディープラーニングを駆使した単細胞レベルでのマクロファージ活性化状態の非侵襲測定)
著者: Nicolas Pavillon, Alison J. Hobro, Shizuo Akira, and Nicholas I. Smith.

参考図

図1 測定とデータ処理の原理。膨大な形態学的パラメータとスペクトルパラメータを使用して、実験とその解析のための統計モデルが生成される。

用語説明

※1 定量的位相顕微鏡法
外部から投与する色素を用いずに光の「位相」を用いることで、細胞内の局所における光学密度から物質の定量を行う顕微鏡法

※2 ラマン分光法
分子の振動モードを測定し、そのスペクトルの特徴から化合物の識別する光学的測定法。生きた細胞に応用することで細胞内分子の定性・定量が非侵襲で測定できることが期待される

参考URL

Nicholas I. Smith准教授(免疫学フロンティア研究センター生体フォトニクス研究室)
http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/en/laboratory/nicholas_isaac_smith/

大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 生体フォトニクス研究室
http://biophotonics.ifrec.osaka-u.ac.jp/

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