2013年8月26日

リリース概要

大阪大学文学研究科では、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター、大阪大学国際公共政策研究科等と共催で、人材育成プログラム「劇場・音楽堂・美術館等と連携するアート・フェスティバル人材育成事業 -〈声なき声、いたるところにかかわりの声、そして私の声〉芸術祭-」を本年9月から実施します。大学が中心となって芸術祭をすることは非常に希少で、本プログラムでは、多ジャンルにおよぶ事業担当者のもとでそれぞれの特性を学びながら、芸術祭を企画運営することで、芸術を広くカバーできるようなマネージメント人材を育成することを目標とします。

プログラムの概要

本プログラムは、平成25年度文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」による助成を受けた人材育成事業で、本年度9月から翌年3月末まで実施されます。大阪大学では、文学研究科に芸術研究を専門とする教員を多く擁し、また他の部局でも芸術実践や芸術政策論を専門とする教員が研究教育活動を展開しており、全体として日本の国立大学では有数の芸術研究教育の拠点となっています。

本事業は、これらの大阪大学内の芸術系教員の研究教育の潜在力を、近隣の芸術諸機関(能勢淨るりシアター、兵庫県立尼崎青少年創造劇場、ザ・フェニックスホール、吹田メイシアター、京都国立博物館、京都工芸繊維大学等)と連携させつつ実施するプログラムで、学生を含めた社会人一般に開かれたものとなっています。

また、多彩なプログラムが大きな特徴です。演劇、音楽、美術、アート、パフォーマンスなど多岐にわたって現代芸術を広くカバーして、どれかの芸術ジャンルに専門的になるのではなく、どのような芸術ジャンルにも対応できる人材育成を行います。現在、地方の文化ホールや機関で求められているのは、何かのジャンルに特化した専門性の高いアートマネジメント人材ではなく、その地域に応じた企画や運営を構想し実施できるジェネラリストとしてのアートマネジメント人材です。本プログラムでは、多ジャンルに及ぶ事業担当者のもとでそれぞれのジャンル特性を学びながら、芸術祭を企画運営することで、芸術を広くカバーできるようなマネージメント力を育成することを目標とします。

関西でも多くの芸術祭が開催されていますが、大学が中心となって、芸術祭をすることは非常に希少で、近隣地域社会のみならず、関西の文化芸術をより活性化することに繋がることになると考えられます。また、この芸術祭のテーマ(声なき声 いたるところに かかわりの声 そして私の声)についての人文学的、芸術学的に考察を加えつつ芸術祭を企画していくことで、従来の芸術祭のあり方ではない、新しい芸術祭の方法論を提示する試みでもあります。また、大学が関西の文化芸術を活性化することに繋がると同時に、今までになかった芸術祭の在り方を提示する試みにもなると考えられます。

本プログラムでは、「記憶」「デモクラシー」「個」をテーマにした芸術祭を企画し制作する受講生(フェスティバル・フェロー)を募集し、彼らフェローに各種のセミナーやワークショップを受講して貰いながら、アート・フェスティバルの企画運営の実際に関わる人材育成を行います。単に芸術祭の実務面でのマネージメント能力のある人を育成するのではなく、芸術祭のコンセプトや内容にまで立ち入って企画運営に関与できる人材を育成するのが目的です。なお、本年度はセミナーやワークショップが中心(主に土・日に開催)となり、芸術祭そのものは次年度に開催する予定です。

プログラム内容(平成25年9月~平成26年3月)

1.「フェスティバル企画運営と実際」(9月、3月 全2回)
<声なき声、いたるところにかかわりの声、そして私の声><未来の芸術祭に向けて>の各事業を通底するテーマで、総括的なセミナーやシンポジウムを開催します。

2.「オリジナル地域伝承劇の企画」セミナー&ワークショップ(10月、11月、12月、2月 全6回)
メイシアター×大阪大学共同事業の吹田市民劇(2014年2月上演)を「活きた教材」と捉え、公演制作に連動させた「劇場と大学と街をつなぐ」アーツマネジメント人材を育成するためのセミナー&ワークショップを行います。北九州市で、商店街と劇場を連動させた「えだみつ演劇フェスティバル」のフェスティバル ディレクターとしての実践知を持つ市原幹也氏と、国際的な舞台芸術の企画と街づくりの連動に携わってきた高山リサ氏を講師として招きます。

3.「国際的パフォーマンスの制作とワークショップ」(9月、11月 全4回)
レジーヌ・ショピノ・ダンス公演:PACIFIKMELTIMGPOT/ In Situ Osaka、@アートエリアB1
クリッシー・ティラー・演劇ワークショップ:Chrissie Tiller Workshop、@大阪大学中之島センター
今日のアートコーディネーターは「ジェネラリスト」としての専門家であることが求められています。その「ジェネラル」の意味するものの中には、なるほど、国際的なイベントも含まれています。本講座は、そのような今日的、社会的なニーズを受けて、舞台芸術に関する二つのプログラム(ダンス公演と演劇WS)を用意しました。受講生には、それら国際性豊かな公演の観賞「批判的な観察」やWSの体験「実践的な参加」を通じて、国際的事業についての主要な知見を会得してもらえたらと期しています。

4.「リサーチとしてのアート・ワークショップ」(9月、12月、1月、3月 全8回)
このプロジェクトでは、高山明氏(PortB)・林立騎氏(翻訳者・演劇研究者)をメイン講師として、 アーティスト、キュレーター、研究者をゲスト講師として招いて開催する4回のワークショップを通じて、アートと社会における「参加」をめぐる諸問題についてリサーチを展開します。 その際に、アーティストによるリサーチと、研究者によるリサーチとの違いとは何か、そして、それが 共同することで何がもたらされるのかも探究します。

5.「レクチャー・コンサートの企画運営」(11月、1月 全2回)
大阪大学が所有するベーゼンドルファー社の1920年製のピアノを中心にレクチャーコンサートを開催します。この文化的価値をもった楽器の演奏者としては、中欧の音楽に造詣の深い北住淳氏(愛知県立芸術大学教授)を招き、レクチャーはピアノの歴史について博士論文を書いた筒井はる香氏(同志社女子大講師) が担当します。なお、連携機関ザ・フェニックスホールの協力を得て、秋に演奏会企画に関するワークショップを行います。

6.「美術と絵画資料の展覧会企画と運営」(10月、2月、3月 全4回)
Aプログラム:近年アメリカを中心に関心が高まり、大小さまざまな規模の展覧会が相次いでいる1950年代から60年代にわたる戦後日本美術、とりわけ具体美術協会(具体)について、その基礎的な知識を学びます。また、これまで戦後日本美術に関する展覧会を企画した経験があり、かつ海外の事情にも詳しい研究者を招いて、アメリカの現状についての見解を伺い、受講者とのディスカッションを行います。
Bプログラム:近世絵画の実地調査を生涯続けられた土居次義氏(1906-1991)の数百冊の調査ノートが近年京都工芸繊維大学に寄贈されました。初年度は、それを整理しながら概要をお伝えし、その目の記憶を再生させる試みを話し合います。また、次年度以降は、記された内容と実際の作例を対応させる研究展示を試みます。

7.「サイトスペシフィック・パフォーマンスの方法と実践」(10月、1月 全2回)
大阪という「場所」の持つ記憶、歴史性、特性をいかに芸術と結び付けていくかを考えるセミナーを、劇団維新派、能勢淨るりシアター等と連携して行います。実際に歴史的近代遺跡の残る「犬島」で開催される瀬戸内国際芸術祭におけるパフォーマンスの現地視察を行います。

特記事項

助成:平成25年文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」

参考図

市民参加型演劇の制作と上演風景

参考URL

大阪大学大学院文学研究科 劇場・音楽堂・美術館等と連携するアート・フェスティバル人材育成プログラム
http://www.let.osaka-u.ac.jp/ja/research/activities/projects/artfestival/top

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