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“関節痛が改善しない”と感じたら 一度は、整形外科で診察・診断を受けましょう

ちょっとミミヨリ健康学 Vol.2

医学部付属病院・整形外科科長・吉川秀樹

身近な健康・医療情報を、大阪大学の研究者が ちょっとミミヨリとして お届けするコラム。

“関節痛が改善しない”と感じたら 一度は、整形外科で診察・診断を受けましょう

─関節痛を起こす病気には、どのようなものがありますか?
頻度の高い関節痛として、1)肩関節痛・2)膝関節痛・3)股関節痛・4)腰痛・5)手指痛などが挙げられます。原因となる主な疾患は、1)肩関節痛は変形性頸椎症(肩こりや手のしびれなど)・肩関節周囲炎(四十肩・五十肩などとも言われ、徐々に肩が上がりにくくなります)・腱板断裂(高齢者で転倒などがきっかけとなることが多く、急に肩が上がらなくなることがあります)など、2)膝関節痛は変形性膝関節症(膝の腫れ・立ち上がり時の疼痛などが特徴で、加齢などによる軟骨の変性が原因となります)(Fig1)・半月損傷(若年者でもスポーツ活動などで受傷することがあります)・偽痛風(高齢者の女性に比較的多く、関節が突然腫れて痛みます)など、3)股関節痛は変形性股関節症(幼少期の股関節脱臼による股関節の形成不全などが原因となることがあります)など、4)腰痛やそれに伴う下肢痛・しびれは、若年~中年の場合は背骨の軟骨成分の変性である椎間板ヘルニアなど(遺伝的素因や喫煙が一因となります)(Fig2)、中年~高年では腰部脊柱管狭窄症(腰椎の加齢性変形による脊髄の圧迫などが原因です)などがあり、5)手指痛は変形性指関節症(へバーデン結節)(指先の第1関節や親指の付け根の変形や腫れを伴う場合が多いです)(Fig3)・関節リウマチ(朝30分以上続く両手のこわばりや手関節・前足部の腫れなどがある場合に疑われます)などがあります。

─関節痛を疑ったらどうすれば良いですか?
関節痛が安静や市販の痛み止めによっても改善しなくなったり、手足にしびれやこむら返りが出たり、力が入りにくくなってきた場合は、まずお近くの整形外科で診察やレントゲンなどの画像検査による診断を受けて下さい。一般的には鎮痛剤などの投薬加療や運動・物理療法などのリハビリテーション、または関節注射などの保存治療により症状を緩和することが可能な場合が多いです。関節リウマチ等が疑われた場合には血液検査などが必要になります。

─関節痛は阪大病院で診てもらえますか?
上記経過にて専門機関での検査や治療が必要と判断された場合には当科へご紹介頂いています。当科では肩関節・膝関節・股関節などの内視鏡手術や人工関節置換術、脊椎手術、関節リウマチの手術なども積極的に行っています。

■大阪大学医学部附属病院 整形外科
リウマチ関節疾患外来、腫瘍外来、股関節外来、人工膝関節外来、肩関節外来、脊椎外科外来、小児整形外科外来、手の外科外来、スポーツ外来の9専門外来グループが中心となり、専門性の高い診療を行っている。

(本記事の内容は、2018年9月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)