生命科学・医学系

2020年4月3日

研究成果のポイント

・世界中で欠乏が予想されているコロナウイルス対策品「フェイスシールド」を産学連携で緊急開発し、データを即時、無料で公開した。(4月1日にhttp://www.project-engine.org/にて公開済)
・メガネフレームの世界的メーカー「シャルマン」と連携してフレーム部分の3Dデータを作成するとともに、シールド部分は「どこにでもあるクリアファイルを流用する」というユニークな発想で対応。
・すでにシールドやマスクの品不足が深刻なヨーロッパや、今後感染拡大が懸念されるアフリカ諸国においておおいに役立つ可能性がある。

概要

大阪大学大学院医学系研究科の中島清一特任教授(常勤)、室崎修招へい教員(次世代内視鏡治療学共同研究講座)らは、共同研究先のひとつでメガネフレームの世界的メーカーである「シャルマン」(福井県鯖江市)と連携し、世界ではじめて、クリアファイルをシールドに使う非常に安価なフェイスシールドの開発に成功しました(図1)。さらに、フレーム部分の3Dデータを無料で公開し、世界中のどこでも簡単にフェイスシールドを製作できるようにしました。
下記のWebにてデータを公開しております。
URL:http://www.project-engine.org/

図1 クリアファイルを用いたフェイスシールド

研究の背景

コロナウイルス感染症の対策上は、検査や治療にあたる医療従事者が適切に個人防護具を使用することがカギとされています。ところが、想定以上の急速な感染拡大に伴って、世界各地でマスクやフェイスシールド、ガウンといった個人防護具の重要な構成要素が欠乏し始めており、ニューヨーク市では「ゴミ袋をかぶって治療に当たらざるを得ない状況に陥っている」との報道もなされています。

これら個人防護具は、これまでは緊急調達物資として、国から対象国へ緊急輸出される等の対策が取られてきましたが、今回のコロナウイルス感染症のように、先進国、新興国を問わず、発生がグローバルかつマルチポイントであり、また拡大のスピードが経験したことのないほど急速な場合、緊急の輸出入といった従来式の調達はまったく現実的でありません。

今回、中島教授らのグループは、「現地にある、ありふれたものを材料に、近年安く性能が良くなった3Dプリンタで印刷できるようにすれば、現地で簡単に調達、製作できるようになり、地球規模での課題解決につながる」と考え、フレームメーカーのシャルマンと連携し開発に取り組みました。

本研究の成果

シャルマンの有する豊富なフレーム造形技術、経験と、「どこにでもあるクリアファイルをシールドに転用する」というユニークなアイデアを結合させ、さらに大阪大学が有する最新のバーチャル・エンジニアリング技術(図2)を駆使して、世界ではじめての超安価なフェイスシールド開発に成功しました。これらの開発は、着想からわずか3日で完成させています。フレーム部分の3Dデータは無料でウェブ上に公開する他、クリアファイルを装着してシールドを完成させる手順もビデオで公開します。

これにより、感染が深刻なヨーロッパや、今後急速な感染の拡大が懸念されるアフリカ諸国の医療現場において、物資が欠乏した時におおいに役立つものと期待されます。なお、3Dプリンタの低価格化は著しく、家庭でも簡単に製作することができます。

図2 バーチャルエンジニアリング工房「DRIVE」(大阪大学)

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究成果により、感染が深刻なヨーロッパや、今後急速な感染の拡大が懸念されるアフリカ諸国の医療現場において、医療従事者を感染から守るうえでおおいに役立つものと期待されます。

研究者のコメント(中島清一特任教授(常勤))

ヨーロッパのドクター仲間たちが、さかんにコロナ対策品のアイデアを発表したり情報交換したりするなかで、自分でも何かできることはないかと考え、得られた成果です。柔軟な発想力と、大学で整備してきたバーチャル・エンジニアリングの手法がうまく結合し結果に繋がったと思います。

参考URL

大阪大学 大学院医学系研究科HP
http://www.med.osaka-u.ac.jp

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