工学系

2018年11月14日

研究成果のポイント

・投影面に触れても、ほとんど影が生じないプロジェクションマッピング技術の開発に成功
・これまでプロジェクタからの光が遮られることにより映像が欠けることが問題だったが、医療現場で利用される影のない照明「無影灯」の原理に着想した方法で影の生じにくいプロジェクションマッピングが可能に
・投影面に触ることのできる新奇プロジェクションマッピング広告や展示、ガイダンス映像を患部にマッピングする手術支援への応用に期待

概要

大阪大学大学院基礎工学研究科の佐藤宏介教授、岩井大輔准教授らの研究グループは、投影面に触れてもほとんど影が生じないプロジェクションマッピング技術の開発に成功しました(図1)

これまでプロジェクションマッピングでは、プロジェクターと投影面との間を遮るものがあると影が生じてしまい、投影された映像の一部が欠けてしまうという問題がありました。

今回、佐藤教授らの研究グループは、医療現場で利用される影の生じにくい照明「無影灯※1」の原理に着想し、幅広い方向から投影面に映像を照射することで、面に触れるほど物が近づいても、いずれかの方向からの光が面に届くため、影(映像の欠け)がほとんど生じないプロジェクションマッピングの開発に成功しました。これにより、投影面に触ることのできるインタラクティブな新奇プロジェクションマッピング広告や展示、ガイダンス映像を患部にマッピングする手術支援への応用が期待されます。

本研究成果は、革新的なコンテンツ技術として「Innovative Technologies 2018」(一般財団法人デジタルコンテンツ協会)に採択され、「デジタルコンテンツEXPO2018」(会期:11月14日(水)~16日(金)、会場:幕張メッセ、InterBEEと同時開催)において展示しています。

図1 投影結果の比較

研究の背景と成果

これまで、プロジェクションマッピングではプロジェクターからの光が遮られることによって、投影面で映像が欠けてしまうという問題がありました。これによって、プロジェクションマッピングの利用シーンはこれまで、プロジェクターと投影面との間に何も存在してはいけないという状況に制限され、自在にモノの見た目や存在感を変えることができる、という特長を十分に発揮できていませんでした。

これに対し、佐藤教授らの研究グループは、医療現場で利用される影の生じにくい照明「無影灯」の原理に着想し、幅広い方向から投影面に映像を照射することで、面に触れるほど物が近づいても、いずれかの方向からの光が面に届くため、影(映像の欠け)がほとんど生じないプロジェクションマッピングを実現しました(図2)。具体的には、微小な鏡が直交に配列された特殊な光学系を使いました。この光学系は、一般的に空中像を提示するために用いられるもので、数十センチ角に大面積化可能です。空中像を投影面に照射するという発想の転換により、これまで想定されていなかった光学系の利用方法を発案し、様々な方向から光が投影面に届く新奇なプロジェクションマッピングの仕組みを実現しました。

図2 原理

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究成果により、投影面に触っても映像が欠けることがないため、効果的なインタラクティブプロジェクションマッピング広告や展示への応用が期待されます。また、術者の手元で映像が欠けないため、ガイダンス映像を患部にマッピングする手術支援への応用も期待されます。

特記事項

本研究成果は、革新的なコンテンツ技術として「Innovative Technologies 2018」(一般財団法人デジタルコンテンツ協会)に採択され、「デジタルコンテンツEXPO2018」(会期:11月14日(水)~16日(金)、会場:幕張メッセ、InterBEEと同時開催)において展示しています。
タイトル:“ShadowlessProjector: 真影の生じないプロジェクションマッピングシステム”
団体名:大阪大学佐藤宏介研究室
YouTube映像:https://youtu.be/xrKRMNlvkVg

なお、本研究は、文部科学省・科学研究費補助金・新学術領域研究「多様な質感認識の科学的解明と革新的質感技術の創出」の計画研究「超多自由度照明による実物体の質感表現編集技術」(研究課題番号:15H05925)の一環として行われました。

用語説明

※1 無影灯
手術室などで用いられる照明器具の一種。多数の光源から成っており、術者の身体が患部を覆っても、すべての照明光が遮られず、影をつくらないように設計される。

参考URL

大阪大学 大学院基礎工学研究科システム科学領域佐藤研究室
https://www.sens.sys.es.osaka-u.ac.jp/home

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