人工知能×アーティストで作成された楽曲が完成!
共同募金運動70年記念応援ソングで使用、記者発表で披露(生歌つき)します
研究成果のポイント
・人工知能を利用した自動作曲システムを用いて、アーティストとの共同作業により楽曲を作成
・楽曲は人工知能技術により生成されたメロディをベースとしてアーティストが手を加えて完成
・音楽界に新風を吹き込む、新たな作曲手法の提示になることに期待
リリース概要
大阪大学産業科学研究所の沼尾正行教授、および東京都市大学メディア情報学部の大谷紀子教授の研究グループは、開発した人工知能技術(自動作曲システム (図1) )を用いて、Office FUKUROUに所属するフォークデュオ「ワライナキ」と共同で、共同募金運動70年記念応援ソング (図2) を完成させました。
今回使用された人工知能に基づく自動作曲システムは、目的の感性を想起させる既存楽曲が入力されると、入力された楽曲に共通する特徴を学習し、得られた特徴に基づいて楽曲を生成するものです。本システムにより生成されたメロディをベースとして、プロのアーティストと共同で応援ソングを完成させました。
今後、新たな作曲方法がアーティストの作曲活動に取り入れられ、音楽界に新風を吹き込むことが期待されます。
楽曲は10月1日(土)11時30分から近鉄奈良駅行基前広場で実施される、「共同募金運動70年記念オープニングセレモニー」で発表されます。
図1 開発した自動作曲システム
図2 作成された楽曲の譜面(一部)
共同研究について
本研究グループでは、個人の感性に即した楽曲の自動生成に関する研究に取り組み、自動作曲システムを開発しました。これは目的の感性を想起させる既存楽曲が入力されると、入力された楽曲に共通する特徴を学習し、得られた特徴に基づいて楽曲を生成するものです。このシステムは、大阪府、奈良県を中心に活動しているフォークデュオ「ワライナキ」と共同で開発したものです。両者は平成28年5月より、観客の感性データに基づく自動作曲を行うことを目的に、コンサート観客の感性をアンケートにより収集し、それに基づいて作曲するという共同研究を行ってきました。
あるグループの構成員に共通する感性を抽出することで、そのグループを高揚させる音楽を作り出すことを目指しています。
今回の楽曲について
「共同募金運動70年記念応援ソング」の作曲を社会福祉法人奈良県共同募金会よりワライナキに依頼があり、このシステムを用いて作曲しました。作曲に当たり、ワライナキへの依頼ということから、ワライナキならではの雰囲気が漂う曲である必要があるとともに、「共同募金運動70年記念応援ソング」としても、感謝や応援の気持ちを想起させるような楽曲がふさわしいと考えました。そこで、ワライナキの曲の中でも特に感謝や応援を歌った3曲を、前述の自動作曲システムに入力し、複数の短い曲を作成し、それにワライナキが手を加えて歌詞をつけ、曲を完成させました。
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究成果により、人工知能と人間の共同作業という新たな作曲方法がアーティストの作曲活動に取り入れられ、音楽界に新風を吹き込むことが期待されます。
参考URL
大阪大学 産業科学研究所 知能アーキテクチャ研究講座(沼尾研究室)HP
http://www.ai.sanken.osaka-u.ac.jp/?lang=ja