2016年8月10日

リリース概要

平野賢一助教(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)らの研究グループは、同グループが2008年に見出した難病である「中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)※1 」の治療法を開発し、診断基準の公表、治験薬のアカデミア創薬、2つの医師主導治験を終えました。また現在、TGCVのグローバル臨床研究を開始し、この難病の克服に向けた世界的なネットワーク構築に力を注いでいます。

そこで9月10日(土)に開催する研究成果報告会(主に医療関係者対象)に先駆けて、病気の発見の経緯や治療法開発への取り組みにつきまして、8月17日(水)15時から大阪大学医学部・同附属病院共通棟3階中会議室にて記者説明会を開催致します。記者説明会への参加をご希望の方は、8月15日(月)17時までに記者説明会参加連絡票をご送付ください。

また研究成果報告会では、これまでのTGCV研究班の成果と今後の難病治療の在り方について、皆様にご報告させて頂きますので、記者の皆様には、ぜひ難病克服に向け広く全国に発信して頂きたく、積極的な取材をお願い致します。

記者発表および研究成果報告会の日程

<記者発表>
【日時】平成28年8月17日(水)15時~
【場所】大阪大学医学部・同附属病院共通棟3階中会議室

<研究成果報告会>
【日時】平成28年9月10日(土)13:30~16:00
【場所】ホテル阪急エキスポパークオービットホール
(https://www.hankyu-hotel.com/hotel/hhexpopark/access/index.html)
日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業「中性脂肪蓄積心筋血管症研究班」
(研究開発代表者:大阪大学大学院医学系研究科平野賢一)に関する研究成果報告会
【申込】事前申し込みが必要です。http://www.cnt-osaka.com/をご参照ください。

本研究成果が社会に与える影響

・我が国での発見から、新規難病の提唱、病態解明、治療法の開発、グローバル臨床研究の実施に至るプロセスは、他に類を見ない研究である。
・TGCVは大学病院において発見された疾患であり、新規治療法の開発、治験薬製造、医師主導治験までを一貫して大学で行ったアカデミア発の新しい医療開発のモデルケースとなる。
・中鎖脂肪酸を用いた難病治療は、安全かつ低コストであり、昨今の医療費高騰による保険医療制度への影響が少なく、また、他の希少難病や心臓疾患、内分泌代謝疾患にも応用が期待できる。

今後の具体的な取り組み

・中鎖脂肪酸を含む食事療法から特定した有効成分の精製、製剤化に成功し、大阪大学医学部附属病院で製造した治験薬(CNT-01)※2 を用いて、TGCV患者さん及び健常者を対象として実施した、2つの医師主導治験についてのご報告を行います。
・今後の「中鎖脂肪酸を用いた難病治療のありかたについて」ディスカッションを行い、広く皆様の意見を募り、今後の治療法開発に活かします。
・TGCV患者さんの把握数が増加しており、これまで以上に医師、医療従事者、関連学会などへの疾患および診断法の周知を行って参ります。
・グローバル臨床研究を実施し、本疾患の克服に向けた体制を世界的に構築するとともに、海外からの要請(医師、研究者、患者さん)にも応える方法を検討致します。

記者説明会の詳細

本件に関して、8月17日(水)15時から大阪大学医学部・同附属病院共通棟3階中会議室(吹田キャンパス)にて記者説明会を行います。是非とも取材方よろしくお願い申し上げます。
※会場設営の関係上、8月15日(月)17時までに別紙記者説明会参加連絡票を、FAXまたはEmailで送付願います。

発表者:平野賢一(ひらのけんいち)医学系研究科循環器内科学助教
スケジュール:15時~研究内容報告(スライドを用いてご説明します。)
15時20分~質疑応答

研究成果報告会の詳細

【日時】平成28年9月10日(土)13:30~16:00
【場所】ホテル阪急エキスポパークオービットホール
(https://www.hankyu-hotel.com/hotel/hhexpopark/access/index.html)
【申込】事前申し込みが必要ですhttp://www.cnt-osaka.com/をご参照ください。

【日程】
開会のご挨拶
医薬基盤・健康・栄養研究所理事長
日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業プログラム・オフィサー米田悦啓

セッション1:TGCV診断・治療法開発(13:30-14:30)
「アカデミア発、医師主導治験からオールジャパン体制へ」座長:枚方公済病院院長野原隆司
・中性脂肪蓄積心筋血管症の病態、診断・治療法の開発(大阪大学大学院医学系研究科平野賢一)

セッション2:グローバル展開(14:30-15:00)
「海外からの要請に如何に応えるか」座長:研究開発代表者
1.グローバル整備体制事業から(臨床研究情報センター西村勉)
2.TGCV/NLSD国際コンソーシアム(Catholic University, Milan, Italy Daniela Tavian)
3.大阪大学の取り組み(大阪大学国際医療センター長中田研)

パネルディスカッション(15:15-16:00)
「中鎖脂肪酸を用いた難病治療のあり方について」座長:国立健康・栄養研究所所長古野純典
会場アシスタント女優・タレント村井美樹さん
日本医療研究開発機構難病研究課岩上直嗣
みゆき会病院小児科(山形大学名誉教授)早坂清
TGCV患者会代表
大阪大学医学部附属病院栄養管理室室長長井直子
国立健康・栄養研究所食品分析研究室室長竹林純

閉会の御礼
大阪大学大学院医学系研究科平野賢一
(プログラム内容に関しては一部変更となる可能性があります。)

特記事項

本研究は、以下の学術雑誌に発表、掲載されています。

・TGCVの疾患概念の提唱
Hirano K, Ikeda Y, Zaima N, Sakata Y, Matsumiya G. Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy. N Engl J Med. 359; 2396-2398, 2008. (IF: 54.4)

・TGCVにおけるヒトの新しいTG蓄積型動脈硬化
Ikeda Y, Hirano K, Fukushima N, Sawa Y. A novel type of human spontaneous coronary atherosclerosis with triglyceride deposition. Eur Heart J. 35: 875, 2014. (IF: 14.7)

・TGCVにおける心筋のTG蓄積とその診断法
Hirano K, Ikeda Y, Sugimura K, Sakata Y. Cardiomyocyte steatosis and defective washout of iodine-123-b-methyl iodophenyl-pentadecanoic acid in genetic deficiency of adipose triglyceride lipase. Eur Heart J. 36: 580, 2015. (IF: 14.7)

欧州心臓病学会の学術誌European Heart Journalでは、2014年4月1日号、2015年3月1日号でそれぞれ、表紙として採用されています。

用語解説

※1 中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy,TGCV)
本研究代表者が、2008年に我が国の心臓移植の患者さんから発見し、New EnglandJournal of Medicine誌に報告した病気。 ヒトの心臓が1日に10万回程度拍動するための主なエネルギー源は、長鎖脂肪酸(Long chain fattyacid)であるが、この病気では、心臓が長鎖脂肪酸を使えず、中性脂肪が心臓の筋肉、血管に蓄積する。いわば、心臓の肥満とも言える病気である。結果として、心臓の機能が低下、中性脂肪蓄積型の動脈硬化が進み、難治性の心不全、狭心症を引き起こす。身体の肥満や高脂血症とは、必ずしも関係なく、痩せていても、或いは、血中の中性脂肪が正常でも、この病気の可能性がある。糖尿病が合併している場合が多く、糖尿病の方は注意が必要である。

※2 治験薬CNT-01
中鎖脂肪酸は、自然界に存在する油で、ココナツの核(種)などに高濃度に存在する成分で、ヒトでは、お母さんの乳腺で合成される脂肪酸の中で最も量が多い。これまで50年にわたり、多くの病気(内科、外科、小児科、神経内科、内分泌代謝内科)に対して、食事療法として使用されたことがある。今回の治験では、中鎖脂肪酸から、TGCVによって心臓に蓄積した中性脂肪を減らす事の出来る有効成分のみを高純度精製して、CNT-01を開発し、使用した。国のガイドラインで定められた非臨床試験では、高用量まで無毒性であり、安全性が高いと考えられる。本治療薬はTGCVのみならず、他の疾患への適応拡大が期待されている。

参考URL

大阪大学 平野賢一(CNT)研究室HP
http://www.cnt-osaka.com/

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