「くずし字」学習支援アプリを開発

「くずし字」学習支援アプリを開発

江戸時代の文字が読めるようになる!「教え合う」機能も搭載

2016-3-9人文学系

本研究成果のポイント

・江戸時代以前の文書の解読に必要な「変体仮名」と「くずし字」の学習を支援するアプリケーションを公開
・コミュニティ機能を付加し、Facebookと連動、スマホ付属のカメラを使ったソーシャルな「学び合い」にも対応
・公開1週間で4,500回以上ダウンロードされ、Android新着アプリランキング(教育・無料カテゴリ)で1位にランクイン
・いままで江戸時代以前の文書に親しみの薄かった人々が「変体仮名」「くずし字」の解読能力を習得し、日本の古典籍や歴史資料の活用が幅広い層で進むことに期待

概要

大阪大学大学院文学研究科の飯倉洋一教授らは、江戸時代以前の文書の解読に必要な「変体仮名」「くずし字」の学習を支援するアプリケーション「KuLA」(Kuzushi-ji Learning Application)を開発し、2016年2月18日に公開しました。

本アプリは、iOSとAndroidに対応し、スマートフォンやタブレットを所有する人なら誰でも気軽に「変体仮名」「くずし字」を学べるよう工夫を凝らしたものです。独習用教材として初めて「くずし字」を搭載し、また、カメラで撮影した文字の読み方をユーザー間で教え合うコミュニティ機能を付加している点が大きな特徴です。公開1週間で4,500回以上ダウンロードされ、Android新着アプリランキング(教育・無料カテゴリ)で1位にランクインしました。

『方丈記』の原文とその翻刻文
右下の「翻刻文」をタップすると、翻刻文が現れる。

変体仮名「な」(那)の用例画像

背景

前近代日本の典籍および歴史資料は、現在急速に画像データベースとしてWEB公開が進んでいます。特に国文学研究資料館は、平成26年度から、歴史的典籍の30万点におよぶ画像データベース公開プロジェクト「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」を進めており、10年間に、30万点の歴史的典籍の画像が公開される予定です。大阪大学はこのプロジェクトを共同で推進する研究拠点校のひとつです。

しかし、日本文学以外の異分野領域の研究者や、海外の日本研究者も、簡単に前近代の歴史的典籍にアクセスできるようになりつつある一方で、それを活用するためのノウハウについては整備されていませんでした。

そこで、飯倉教授らは、これらの画像を活用するために必要なくずし字解読学習の支援を、いかにして可能とするかを検討した結果、本アプリケーションを開発するにいたりました。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本アプリは公開後1週間で4,500回以上ダウンロードされ、Androidの新着アプリランキング(教育・無料カテゴリ)では最高1位にランクインしました。ユーザーには『刀剣乱舞』など、歴史を題材にしたゲームやドラマから日本の古典籍に関心を持った若年層も多数含まれています。

本アプリによって、いままで江戸時代以前の文書に親しみの薄かった世代や、海外で日本の歴史・古典文学を学ぶ人々が「変体仮名」「くずし字」の解読能力を習得し、日本の古典籍や歴史資料の活用が幅広い層で進むことが期待されます。

特記事項

本研究成果は、日本学術振興会科学研究費助成事業(挑戦的萌芽研究)「日本の歴史的典籍に関する国際的教育プログラムの開発」(代表:大阪大学大学院文学研究科 飯倉洋一教授)の研究課題において実施されました。また、本研究グループの橋本雄太特任研究員(京都大学大学院博士後期課程学生)がアプリの設計を担当しました。

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