2015年3月6日

リリース概要

株式会社SCREENホールディングスと大阪大学はこのほど、太陽電池の瞬間的な発電状態を計測し可視化する「レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡(以下、LTEM)技術※1 」を搭載した太陽電池評価システムの装置化に成功しました。この装置を再生可能エネルギー分野の世界的な研究開発拠点「福島再生可能エネルギー研究所※2 」へ設置し、最先端の太陽電池研究開発を支援します。

研究背景と成果の内容

近年、低炭素社会の実現に向け、世界中で再生可能エネルギーの活用が進んでいます。中でも、太陽光発電は、自然エネルギーを使用する代表的な発電方法として、今後さらなる普及が期待されています。一方で、商用太陽電池の約80%を占める結晶シリコン太陽電池は、発電時にさまざまなエネルギー損失が発生することが課題のひとつとなっています。そのため、瞬間的な発電状態の変化が、エネルギー変換や損失に与える影響を検証することができれば、発電効率を高める研究開発につながると考えられています。

こうした理論を実証する有効な方法として、SCREENホールディングスと大阪大学は2011年10月、LTEM技術を用いて太陽電池から発生するテラヘルツ波※3 を計測し、1兆分の1秒という極めて短い発電状態の変化を可視化することに世界で初めて成功(図1)。その後もこの技術の実用化に向けて研究開発を進めてきました。このたび、太陽電池の解析や実証実験などへの活用に国内外の研究者や技術者の期待が高まる中、LTEM技術による太陽電池評価システムの装置化を実現し、再生可能エネルギー分野の世界的な研究開発拠点「福島再生可能エネルギー研究所」に設置することになりました(図2)

本研究成果の意義

SCREENホールディングスと大阪大学は、今回の取組みを通じて、「福島再生可能エネルギー研究所」での太陽電池分野の総合的な研究開発に寄与するとともに、今後は、研究で蓄積されたノウハウを応用し、テラヘルツ波の検出・分析技術を駆使した新たな分野への技術展開を目指します。

特記事項

*この共同開発は、経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」の助成を受けています。また、JST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)「シーズ顕在化タイプ」、ならびに文部科学省先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業「高強度レーザーが拓く光科学新産業」を活用しました。

*この技術は、2015年3月11日(水)から東海大学湘南キャンパスで開催された「第62回応用物理学会春季学術講演会」において、13日(金)のシリコン系太陽電池セッションで発表されました。

独立行政法人産業技術研究所 福島再生可能エネルギー研究所
再生可能エネルギー研究センター太陽光チーム長 高遠 秀尚氏のコメント

当センターでは、高効率で信頼性の高い結晶シリコン太陽電池セルおよびモジュールの実現を目指し技術開発を進めています。高効率な太陽電池セルの開発には、発電時の動作解析や信頼性に関するメカニズムを解明することが重要です。SCREENホールディングスと大阪大学が開発した太陽電池評価装置は、これまで確認することができなかったセル内部の状態を可視化・計測することができるため、変換効率向上に寄与するものと考えられます。本装置の活用により、太陽電池の研究開発が加速することを大いに期待しています。

参考図

図1 太陽電池から発生するテラヘルツ波

図2 LTEMを搭載した太陽電池の評価装置

用語解説

※1 レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡(LTEM)
大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの斗内教授が開発した、テラヘルツ波応用解析装置。約100フェムト秒という極めて短い時間のレーザーパルスを半導体、超伝導体、強誘電体などの材料やデバイスに照射することにより、発生するテラヘルツ波を検出し、可視化できる顕微鏡。(1フェムトは1,000兆分の1秒)

※2 独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所
平成26年4月に福島県郡山市において開所。「世界に開かれた再生可能エネルギーの研究開発の推進」と「新しい産業の集積を通した復興への貢献」を大きな使命とし、国内外から集う様々な人々と共に、再生可能エネルギーに関する新技術を生み出し発信する拠点を目指している。

※3 テラヘルツ波
周波数がテラ(1テラは10の12乗)の領域にあることに由来。100GHz(ギガヘルツ)~30THz(テラヘルツ)程度の周波数で、3mm~10μmの波長を持つ電磁波。

参考URL

研究室HP
http://www.ile.osaka-u.ac.jp/research/THP/

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