2014年10月14日

本研究成果のポイント

■癌代謝が遺伝子に傷を付ける分子機構を、消化器癌で明らかにした。
■生活習慣病でもこの代謝の分子機構は重要な鍵を握る。
■難治性消化器癌の高精度な診断と革新的な治療の開発に向けて、新たな基盤を構築した。

リリース概要

大阪大学大学院医学系研究科癌創薬プロファイリング学共同研究講座の石井秀始特任教授(常勤)、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座(消化器外科学)の森正樹教授らの研究グループは、生活習慣病でも重要な「代謝」のプロセスと、「癌」の転移のプロセスを結びつける新たな分子メカニズムを明らかにしました。今回明らかになったメカニズムは、予想外にも、代謝に関わる蛋白質が本来の持ち場を離れて移動、癌転移のスイッチのオン・オフを制御するというものでした。今後、このユニークな分子機構は、転移を伴う難治性の消化器癌を標的とした新たな高精度の診断、治療などに向けて貢献できると期待されます。

なお、本研究成果は、米国科学アカデミー紀要に10月13日(月)15時(米国東部時間)に掲載されました。

研究の背景

ゲノムプロジェクトの成果で、癌は遺伝子の傷による病気であることが明らかになりました。また最近では遺伝子を詳細に調べることにより、癌は短時間で出来るものではなく、その発生と進展には環境(喫煙、飲酒など)や炎症(感染)などが複合的に絡み合い、長い年余を経て遺伝子の傷が蓄積、悪性の癌に至ることが明らかにされてきています。一方で、わが国を含む先進国では、癌とともに糖尿病等の生活習慣病も大きな課題の1つです。生活習慣病と癌は、ともに糖を分解する代謝が重要な役割を担っている点では共通してますが、遺伝子の傷を伴うのは癌のみであり、代謝がどのように癌と関連しているのか、またこのような関連性が癌の悪性度とどのように関連しているのか、明らかではありません。この共通分子機構を解明することは、代謝を分子基盤とするこれらの国民病の本態の解明に繋がるとともに、その正確な診断、さらには効果的な治療に役立つことが期待されます。

癌代謝の機構を解明:新たな診断・治療に道

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

【有用面】転移を伴う難治性の固形癌(消化器癌)における、画期的な診断・治療の展開の可能性
【学術面】代謝のような短い半減期の細胞プロセスが、遺伝子のような半永久的な情報に変換される機構の分子論的究明

特記事項

本研究成果は、米国科学アカデミー紀要に10月13日(月)15時(米国東部時間)に掲載されました。

参考URL

研究室WEBサイト
http://www001.upp.so-net.ne.jp/CancerProfiling/index.htm

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