2014年9月15日

リリース概要

大阪大学最先端研究開発支援プロジェクトの川合知二特任教授と大阪大学産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野の谷口正輝教授の共同研究グループは、ペプチドシークエンサーの動作原理を実証しました。今後、創薬への応用が期待されます。

これまで、化学処理をしないで、そのままペプチドのアミノ酸配列を決定するペプチドシークエンサーは開発されておらず、夢の装置と考えられてきました。

共同研究グループは、半導体技術を用いて、約1ナノメートルの電極間距離を持つナノギャップ電極を作製し、1個のアミノ酸分子を流れる電流により、ペプチドの部分アミノ酸配列の決定に成功しました。また、酵素などのたんぱく質機能をスイッチする修飾アミノ酸分子の識別にも成功しました。

図 ペプチドシークエンサーの原理図.
1つ1つのアミノ酸の電気抵抗の違いを読み出す.

研究の背景

個別化医療の実現に向けて、遺伝子解析と同様に、タンパク質・ペプチドの超高速・超低コストなアミノ酸配列解析法の実現が期待されています。特に、ペプチドは創薬のターゲットになっており、ペプチドシークエンサーの重要性は高まっています。しかし、これまで化学処理を必要としないペプチドシークエンサーが開発されることはありませんでした。

また、修飾アミノ酸は、がんや自己免疫疾患などの病因・病態に深く関わるため、1分子レベルでの修飾アミノ酸検出法の開発が強く求められています。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

ペプチドシークエンシング技術は、1分子の電気抵抗を計測するこれまでの技術とは全く異なる原理で動作しており、これまで解析が出来なかったペプチド解析の実現が期待されます。この開発した1分子解析技術は、ペプチドシークエンシング技術の基礎研究を応用化・実用化研究へと展開する最も重要な概念実証であり、今後の研究開発を飛躍的に推し進めると期待されます。

特記事項

研究成果は、2014年9月14日(英国時間、日本時間:9月15日午前2時)にネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)「Nature Nanotechnology」のオンライン速報版で公開されます。本研究は、日本学術振興会の最先端研究開発支援プログラムと科学研究費補助金基盤研究(S)により、助成を受けたものです。

用語説明

※1 ペプチド
生体を構成するたんぱく質の構成要素でアミノ酸が鎖状につらなった分子。

※2 ペプチドシークエンサー
ペプチド鎖を構成するアミノ酸の綱なっている配列を決定する解析装置。

参考URL

大阪大学産業科学研究所産業科学ナノテクノロジーセンターバイオナノテクノロジー研究分野
http://www.bionano.sanken.osaka-u.ac.jp/

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