半世紀前の古墳発掘調査カラー映像を発見、一般公開へ

半世紀前の古墳発掘調査カラー映像を発見、一般公開へ

甲冑が大量に出土した藤井寺市野中古墳

2012-12-21人文学系

リリース概要

2009年に大阪大学文学研究科内の資料収蔵室から古い8ミリフィルム2巻が見つかった。慎重にクリーニングし、内容のチェックを行った結果、文学部(当時)が1964年に行った藤井寺市野中古墳(現在国史跡・世界遺産暫定リスト掲載)の発掘調査を撮影したカラー映像であることが判明。このたび、デジタル化してインターネット上で一般公開する運びとなった。発掘調査のカラー映像としては府下では最古期のもの、全国的にもごく初期のもの。

背景

野中古墳の発掘調査は1964年3月~7月にかけて大阪大学文学部国史研究室(当時)の北野耕平助手を中心に実施。甲冑11セット(全国第2位の出土数)、鉄製武器、鉄鋌(鉄の地金)、陶質土器など、朝鮮半島南部の加耶勢力との交流を物語る多数の副葬品が出土。野中古墳は5世紀半ばにつくられた一辺37mの中規模方墳だが、巨大前方後円墳が集中する百舌鳥・古市古墳群中にある。

当古墳群の大型前方後円墳が陵墓に指定されて学術的な調査が限定されている状況下で、野中古墳の出土品は、大阪平野を拠点に発展した5世紀の「河内政権」の権力基盤が半島交流と鉄の掌握にあったことを示す貴重な資料群。

本件が社会に与える影響

学術的に重要な野中古墳の発掘調査状況がカラー映像でつぶさに確認できることは、古墳研究の第一級の情報としての価値はもちろん、世界遺産暫定リストに掲載されている「百舌鳥・古市古墳群」の古い発掘調査成果を臨場感豊かに府民、国民に伝えるという文化財活用面でも大きな意義。

特記事項

公表するHPは文化庁補助事業「文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業」の一環で作成。

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