2012年4月10日

<リリース概要>

大阪大学歯学研究科の河合伸治特任准教授と天野敦雄教授は、このたび世界に先駆けて、がん抑制遺伝子の新機能を発見しました。今後、がんの進行や転移を抑える治療薬開発への応用が期待されます。この研究成果は米国科学雑誌「Journal of Cell Biology」4月16日号に掲載されます。

 

<研究の背景>

がん抑制遺伝子BRCA1は、有名な乳がん感受性遺伝子であり、乳がんや卵巣がんの発生や進行を抑制しています。乳がんは骨への転移の頻度が非常に高いことが知られています。 小さなRNA(マイクロRNA)は、遺伝子の発現を制御する働きを発揮し、始めは長いRNA前駆体として転写され、プロセシング複合体により、二十数塩基の短い成熟型RNAへとプロセシング(加工)されます。様々なタイプのがんでのマイクロRNAの発現が異常になっていることが知られています。20120410_1_fig1.png

本研究では、BRCA1はプロセシング複合体と一体化し、マイクロRNA前駆体と直接結合することにより、マイクロRNA前駆体のプロセシングを促進し、成熟型マイクロRNAの量を制御することを明らかにしました。BRCA1のがん抑制の機能は、これまで染色体の修復を介したものであることが知られていましたが、本研究によって、BRCA1はマイクロRNAのプロセシングを介してもがんの抑制効果を果たしていることが示されました。さらに、BRCA1には、がん抑制機能だけではなく、多様な遺伝子発現を制御していることも示唆されました。

 

<発見により期待される成果>

本研究は大阪大学歯学研究科が推進している「口の難病プロジェクト」の一環として取り組んだもので、骨がんや口腔がんを始めとする種々のがんの形成などの解明にも大きく貢献する成果と言え、今後、BRCA1とマイクロRNAをターゲットにしたがんの進行や転移を抑える治療薬開発への応用が期待されます。

 

<参考URL>

http://www.dent.osaka-u.ac.jp/graduate/course/frontier.html

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