2012年3月1日

<リリース概要>

独立行政法人日本原子力研究開発機構 (理事長 鈴木 篤之) 先端基礎研究センターの立岩尚之研究副主幹、松田達磨研究副主幹、芳賀芳範サブリーダー、Zachary Fiskグループリーダー及び大貫惇睦 大阪大学教授(客員研究員)らの研究グループは、ウラン化合物超伝導体URu2Si2において、超伝導と密接に関係する電気抵抗の成分が存在することを発見しました。

超伝導は、固体中の電子が引き起こす現象の中でも、最も量子効果が明確に現れたものです。超伝導の実現には、2個の電子を結びつける引力が必要で、鉛など単体金属の超伝導体では結晶格子の振動がその役割を果たします。一方、電子間に強い相関が働く電子系ではより強い引力を必要とするため、その超伝導状態の発現メカニズムは通常の超伝導体と著しく異なります。

研究グループは、電子間に強い相関がはたらくウラン化合物超伝導体URu2Si2の超伝導メカニズムを、高い圧力のもとでの電気抵抗から探りました。固体中の電子は不純物や他の電子により散乱され、 電気抵抗が生じるので、電気抵抗の温度変化を調べることで、固体中の電子の散乱の強さについて情報を得ることができます。実験では、不純物の影響を取り除くため、極めて純度の高い単結晶を育成し、高圧力(15000気圧まで)の環境下で詳細な電気抵抗の測定を行いました。その結果、URu2Si2の超伝導相では異常な電気抵抗を示す領域があり、電子間にはたらく異常な散乱が存在していることを発見しました。また、超伝導転移温度が観測した異常な電子散乱の強さと比例関係にあることも明らかにしました。

URu2Si2の超伝導が発現するためには、正体不明の電子の運動(電子系の秩序相)が関わっていることが知られていますが、その秩序相の詳細は、発見から四半世紀以上経過しても完全には解明されておらず、「隠れた秩序相」と呼ばれています。今回の結果は、「隠れた秩序相」における異常な電子の散乱が超伝導を引き起こすことを示しただけでなく、銅酸化物超伝導体等、一般の相関の強い電子系が作り出す凝縮相の特質の一つを明らかにしたといえます。

本研究成果は、米国物理学会誌「Physical Review (フィジカルレビュー)」オンライン版に2月28日(現地時間)掲載されました。(http://prb.aps.org/abstract/PRB/v85/i5/e054516)

 

<参考URL>

http://crystal.phys.sci.osaka-u.ac.jp/Site/Top%20Page.html

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