2019年9月25日

― 認知症とはどんな病気ですか?

認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞の働きが悪くなる、あるいは死んでしまうことによって、物忘れや認知機能の低下が起こり、社会生活や対人関係などの日常生活に支障をきたしている状態です。加齢に伴って誰もが経験する「生理的な物忘れ」とは違い、認知症では出来事の内容だけでなく、出来事自体を忘れたり、物忘れの自覚がない場合が多いです。我が国では人口高齢化に伴って認知症患者数も増加し、2012年時点で患者数は約462万人、2025年には患者数は700万人程度にのぼると推定されています。

― 認知症の原因は?

認知症をきたす疾患は、脳の神経細胞が死滅し、減少することによって発症する変性性認知症と、何らかの病気や外傷によって発症する二次性認知症の2つに大きく分けられます。前者にはアルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、後者には脳血管性認知症、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍などが含まれます。このうち、我が国の認知症患者の多くを占めるアルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の3つについて、概説します。

【 アルツハイマー病 】

認知症の原因として世界的にも最も多い疾患です。記憶障害、特に最近の記憶の障害が現れることが多いです。その原因として、脳にアミロイドβとタウというたんぱく質が異常蓄積して、神経細胞が徐々に変性して発症すると考えられています(Fig1)。脳内のアセチルコリンが減少するため、これを補填する対症治療薬が使われます。現在、アミロイドβやタウの産生を抑える、あるいは蓄積を防ぐ根本治療薬が開発中です。

【 レビー小体型認知症 】

認知障害に加えて、幻視やパーキンソン症状(筋肉がこわばり転倒しやすくなる)が現れることが特徴です。その原因として、やはり脳にαシヌクレインというたんぱく質が異常蓄積して、「レビー小体」と呼ばれる塊を作って発症します。

【 脳血管性認知症 】

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因となり発症します。認知症以外に、四肢の麻痺や言語障害などが現れやすいです。

― 認知症を疑ったらどうすれば良いですか?

上述のように、例えば食事の内容はもちろん、食べたこと自体を忘れるなどの異常な物忘れや、同じことを繰り返し言う、日付や季節、今いる場所がわからない、以前はできていたことができなくなるなどの初期症状が認められると要注意です。認知機能の低下に伴って、元気がなくなる、財布を盗まれたなどの妄想も見られます。なるべく早めに家族や周りの人と一緒に専門医を受診しましょう。早めの治療で症状が改善する場合があり、特に慢性硬膜下血種や正常圧水頭症などは有効な治療法があります。

― 認知症の予防方法は?

脳血管性認知症では、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の予防が大切です。最近はアルツハイマー病でも糖尿病が関連することが分かってきており、野菜・果物・魚介類の豊富な食事を心掛けましょう。また、定期的な運動習慣や十分な睡眠をとるなど、日常の規則的な生活管理をお勧めします。


●大阪大学大学院 医学系研究科 神経難病認知症探索治療学寄附講座
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などの認知症や神 経難病の病態解明と治療法開発をめざした研究を行っている。様々な企業、医療機関、患者様 からのご寄附により運営されている寄附講座である。

URL:http://www2.med.osaka-u.ac.jp/neurother/


(本記事の内容は、2019年9月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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