2018年5月10日

集積回路の大規模化・半導体チップの高性能化・高機能化に挑戦

パソコンやスマートフォンなどのあらゆる電子情報機器の頭脳とも言える「集積回路」。そのコアとなっているのが半導体チップだ。「半導体チップを、より高性能化・高機能化にするための研究を22年間にわたり続けています」と橋本教授。
しかし、取扱う情報量の増大に伴う集積回路の大規模化・半導体チップの高性能化・高機能化は、設計コストの上昇や計算に要する電力の大量消費を生み出している。クラウドを支えるデータセンターには、膨大な数の半導体チップが高密度に集積されているため、「世界規模的なエネルギー問題につながる可能性がある。そのため、電力消費を抑えようと低い電圧で動かすとノイズや二次宇宙線などの外的要因に弱くなる。その結果、計算結果に対する信頼性が低下してしまいます。これらを乗り越え求められている性能で動き続ける集積回路技術に取り組んでいます」

自律的に動いてくれる半導体チップ

「半導体チップを現在の技術で作ると、個々の性能にバラツキが出ます。最新の半導体チップには100億個ほどのトランジスタ(電気の流れをコントロールする半導体素子)が乗ります。今の地球の人口約75億人の個性が異なるように、出来上がってくる膨大な数のトランジスタも均質ではありません。そのため個々の半導体チップに揺らぎが生じてしまいますが、半導体チップの一つ一つが、自身の特性によるベストな電圧を自ら判断し、自律的に動いてくれる集積回路を目指しています」
しかし、自律的のアイデアには課題もある。「自律的に動く半導体チップは、製品として出荷した後も自律的に動いていくため、数年後でも正しく動くかどうかという懸念がある。例えば家電製品のように、約10年間の品質保証ができるのか、その評価が難しい。研究レベルから実用化に進めるための課題を洗い出し、解決策を追究しています」

集積回路の設計

集積回路の研究で最も大変なのは設計。「大規模集積回路を自分の思い通りに設計し、これを製品化するためには不具合が含まれていない回路を作らなければならない。限られた期間で、新しいアイデアを形にする。ここが大変苦労します。しかし、学生たちと一緒に試行錯誤して完成させた集積回路が、きちんと動いた時の感動は何ものにも替えがたい」

専門分野を超えてコラボレーションを

半導体チップの応用分野は大きく広がりつつある。そのため、「AI(人工知能)をはじめとする多様な分野の研究者たちと、半導体チップのあるべき姿や今後について考えたい。また、専門分野を超えてコラボレーションしながら、分野の境界部分にあるチャレンジングな研究に取り組み続けたいですね」と語る。

●橋本昌宜(はしもと まさのり)
1997年京都大学卒業。99年京都大学修士(工学)。2001年03月京都大学博士(情報学)。 01年04月 ~ 04年03月京都大学情報学研究科助手。04年04月 ~ 07年03月大阪大学情報科学研究科助教授。07年04月 ~ 16年03月大阪大学情報科学研究科准教授。16年04月から現職。同年、電子情報通信学会論文賞受賞。

(2018年2月取材)

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