2018年10月2日

動機づけと語学力向上を同時に研究

西田准教授は、小中学校で英語学習についての児童・生徒たちへのアンケートを実施。質問項目は、英語力の向上に関するだけではなく、「英語が楽しいので勉強を続けたいですか」「英語で資格を取りたいと思いますか」など動機づけに関わる質問や、「英語クラスでお友だちとたくさんお話ししますか」などクラス内でのコミュニケーションに関わる質問が含まれる。アンケート後は統計処理を施して分析する。

子供たちを横断的、縦断的に調査

研究のきっかけは、小学校の外国語指導に携わっていたときのこと。英語ネイティブスピーカーのALT(外国語指導助手)に指名された生徒が、突然泣き出した。「なぜ、この子は泣き出したのだろう。ネイティブスピーカーと接して不安になったのだろうか。どうすれば不安を軽減してあげられるのだろうか」。という問いに答えを出したいという思いから、英語教育についての調査を始めた。  一つの学年の児童・生徒たちを横断的に調査するだけでなく、同じ子供たちを小学生時代から中学卒業まで追跡することもある。複数年度にわたって調査することで、どのような要素が子供たちに変化を与えるかを観察するためだ。  専門家グループの共同研究では、多人数の生徒について調査した。約600人の中学生について「どこの時点で英語につまずきを感じたか」のアンケートを取った。「私は『何が動機となって、英語好きになるか』に関心がありますが、現場の先生は『どこで英語が嫌いになったか』に関心があるようです。つまずきの原因を見つけ、その解決策を先生に提案していきたいと思います」

学生の好奇心の扉を開く

学内では全学教育推進機構の英語授業を担当し、大学生の英語力向上について研究している。授業で採用しているのは、学生の専門分野と英語を組み合わせた新しい英語教授法CLIL。事前にアンケートを取り、学生が興味関心のある話題を収集しておく。その上で興味のある分野について、英語での批判的考察やグループ発表などに挑戦させる。例えば工学系分野に興味がある学生には『人工知能の発展が社会に与える影響』などのテーマを与える。「日本語であったとしても難易度の高い内容ですが、興味がある内容だと学生たちは自発的に意見をするようになりますし、こちらも驚くほどの精度の高い発表をする学生もいたりと、よく頑張っています」。大阪大学をはじめ計4大学で同様の取り組みを実施し、効果検証を行っている。  授業を履修した学生からは「英語が嫌いじゃなくなった」という声が多数上がった。「特に理系には『スピーチ、リスニングが苦手』と思い込んでいる学生が多いのですが、本当は、言いたいこと、知りたいことがたくさんあるのです。彼らの英語への好奇心の扉を開く手伝いをしてあげたいですね」

●西田理恵子(にしだ りえこ) 米国South Dakota State University (Psychology)卒業、理学士。英国 University of Kent at Canterbury (Forensic Psychology) 修了、理学修士。帰国後、大手製薬メーカーにて通訳翻訳として勤務。その後、泉大津市立教育支援センターにて小学校英語教育アドバイザー・指導員として従事し、小学校英語活動における動機づけと情意要因に関する博士論文を執筆。2011年関西大学大学院外国語教育学研究科修了、博士(外国語教育学)取得。同年、大阪大学言語文化研究科講師、14年より現職。17年より全学教育推進機構教員を兼任。17年大阪大学賞受賞。

(2018年2月取材)

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