2018年5月22日

日本最大のレーザー装置との出会い

日本最大のレーザー装置LFEX。「大学では世界的にも類を見ない装置です。米国の大学や国立研究所には同規模のものもありますが、多少軍事的要素があります。LFEXのように非軍事的でアカデミックな設備は、大阪大学以外では皆無に等しいと思います」と余語准教授は語る。

京都大学での学生時代は、レーザーではなく電気で動く加速器を用いてイオンを加速させる研究に携わり、大学院修了後、日本原子力研究開発機構に在籍。当時の上司が現在の大阪大学レーザー科学研究所の出身だったことで大阪大学との縁が生まれ、2014年に「レーザーの魅力に引かれて」大阪大学に移籍した。

 

非破壊検査、宇宙の謎……幅広く研究

非破壊検査に関する研究では、レーザー装置により発生させた中性子を使って、コンクリート構造物などを非破壊で診断する技術を開発中だ。「高度成長期に作られ、老朽化している数多くの橋などについて、どこに水が浸入しているか、どこが錆ているかが分かり、建替えや補修などの優先度が高いものを特定することができます」。一般的なレーザー装置よりLFEXを使うことで、より多くの中性子が瞬間的に得られる。原理実証実験を重ねて、将来の普及型装置のためのデータ収集に取り組んでいるところだ。

さらに、銀河系宇宙の謎に迫る共同研究もスタートした。「銀河系が誕生した時には存在していた元素が、現在ではなくなってしまった。レーザー装置により発生させた中性子を照射することで再現させようという壮大な研究です」

 

レーザー科学研究所は多くの人が乗る「船」

レーザー科学研究所は、数多くの研究グループが協力し合い、幅広いテーマに取り組む。「沢山の人が働く船のようなところです。ブリッジも機関室もある、大きなタンカーをイメージして下さい」。その「船」に、何十人もの人が関わっている。「技術系の職員は30人ぐらいで、レーザーを整備・改良する人、レーザーを操作する人、測定を手伝う人、極小のターゲットを組み立てる人などがいます。そこに教員と学生が加わって、みんな揃ってチームとして動ける」。こんなところは世界中のどこにもないと、余語准教授は胸を張る。

 

大学はクリエイティブ空間

LFEXが学生も使える装置であることはすばらしいと、余語准教授は話す。「大学がクリエイティブな空間なのは、学生がいるからだと思います。彼らは研究室にいる3年間で大きく成長します。私の方が気づかされる点も多いですね」

 

●余語覚文(よご あきふみ)
2005年京都大学工学研究科修了、博士(工学)。同年日本原子力研究所、14年より大阪大学レーザーエネルギー学研究センター准教授、17年から現職。同年、大阪大学賞受賞。

(2018年1月取材)

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