2018年9月13日

早期に、かつ決して停まることなく

大阪大学と東北大学のスーパーコンピュータを連携させ、東北大学で開発された津波の被害推計プログラムを両大学で運用する取り組みが、内閣府の委託事業として2017年にスタートした。伊達准教授はこのプロジェクトで、津波の高さや到達時刻、浸水範囲などを速やかに推定するシステムの設計と検証を進めている。「危機対策本部に早期に計算結果を提出するため、10分間でシミュレーションする必要があります」。最も重要なのは、「いかなる災害時にもスパコンがきちんと働いていること」。不測の事態にも対応できるよう、定期的にシステムをチェックする。

医療機関と連携し企業と共同研究

「せっかくスパコンがあっても、使われなければと意味がない」と伊達准教授。「工学・理学系の研究者に比べ、医歯薬系の研究者の利用が少ない理由は、セキュリティ上の制約です。医歯薬の先生方は、システムを使いたいと思っても、患者さんのプライバシーに関わる医療データを、医療機関から出して計算機センターに持ってくることができません」。一方、AIを導入して将来の病気予測などに活用したいというニーズは高まりつつある。
そこで、技術面からできることに取り組もうと、歯学部附属病院、NECとの共同研究が2017年に始まった。「歯学部附属病院には、倫理審査を経て、可能なデータを提供していただきました。インフラを担当する私の方では、NECと協力しながら、病院外にデータを出さずにすむように病院とセンターのスパコンを結ぶための技術開発を進めました」
2018年3月には、サイバーメディアセンターと歯学部附属病院を光ファイバーの専用線でつなぎ、両端にセキュリティの仕組みを敷いて、安全にデータを計算機に届けられるようになった。今後はさらに発展させ、完全なデータ活用、解析の実現をめざす。「諸外国では既に、患者の画像データから将来の疾患をAIが予測する研究が始まっています。日本でも私たちの取り組みが、新たな医療につながると思うと楽しみです」

最新スーパーコンピュータシステム『OCTOPUS』の導入に関わる

研究のほか、伊達准教授はスーパーコンピュータシステムの管理運用を担当。2017年12月から運用されている新しいスーパーコンピュータシステムOCTOPUS(Osaka university Cybermedia cenTer Over-Petascale Universal Supercomputer)の導入時には、最適なシステム構成をめざした。「最大のポイントは、1.463PFLOPS(ペタフロップス)(1秒間に1463兆回の浮動小数点演算)という演算性能。この性能を安定的に提供するため、水冷方式で冷却しています。また、汎用性が高く、文系の研究者も理系の研究者も、研究室で作成したプログラムが使いやすいハイブリッド型である点も特徴。学内で活発に行われているAI系の研究(非常に多くのデータを読み込ませてコンピュータに判断させるような研究)にもよく対応します」
名称について「大阪といえば、たこ焼き、タコはオクトパス。外国人もネーミングの理由を説明すると喜んでくれます」と笑う。

●伊達進(だて すすむ)
2002年大阪大学工学研究科修了、博士(工学)。同年大阪大学情報科学研究科助手、05年同研究科特任助教授(常勤)、07年同研究科特任准教授(常勤)、08年大阪大学サイバーメディアセンター情報メディア教育研究部門を経て13年より現職(サイバーメディアセンター応用情報システム研究部門准教授)。

(2018年4月取材)

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