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阪大発の蛋白質データバンク構築 生命科学研究で世界をつなぐ

蛋白質研究所・准教授・金城玲

阪大発の蛋白質データバンク構築 生命科学研究で世界をつなぐ

阪大発の蛋白質データバンク構築 生命科学研究で世界をつなぐ

大阪大学は蛋白質研究所を擁し、早くから日本のタンパク質研究の最先端を担ってきた。こうした経緯から、「日本蛋白質構造データバンクPDBj」の拠点は大阪大学に置かれている。准教授は、このPDBjのデータベースを構築し、管理・運営の中心的な役割を担う。これらの功績から2014年の総長奨励賞を受賞した。

PDBjの役割は、世界中で解析された実在のタンパク質の構造を登録し、それらを網羅したデータベースを公開することだ。金城准教授の専門はタンパク質の立体構造予測。国立遺伝学研究所では、スタートしたばかりのPDBjをユーザーとして活用していた。

蛋白質研究所では、一転して運営者としての任に就き、データベース構築を進めることになった。「万事、たまたま」と謙遜するが、京都大学では院試に必死に取り組んで飛び級制度を活用、現職ではタンパク質の立体構造の種別を確定し、新しい分類法を整えた。温厚な人柄の背景に、自らの赴いた場でできる限りの努力を惜しまない気骨が伝わってくる。

PDBjには、現在までに世界中で解析された、ほぼすべてのデータが登録されている。金城准教授は「豊富にデータが蓄積された結果、タンパク質の立体構造と機能の深い相関が理解されたが、それだけでくくれない新しい知見も見い出されつつある」と。PDBjは、タンパク質の利用や機能予測に大きな力になると期待されている。

●金城 玲(きんじょう あきら)

1998年京都大学理学研究科化学専攻修了。2001年総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻修了。国立遺伝学研究所を経て09年から現職。博士(理学)。蛋白質立体構造のデータベース研究を中心に 、 生物物理学 、 生 命・ 健 康・ 医療情報学が専門。12年に「蛋白質立体構造のデータベース技術と博物学の研究」で文部科学大臣表彰若手科学者賞 、 14年に日本生物物理学会BIOPHYSICS論文賞を受賞。


(本記事の内容は、2014年9月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)