Research Subtitle:
自然免疫システムが背と腹の境界を作り出すことを解明

Title Image SP:
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Announcement Date
2023-11-10

Research Highlight
life_sciences_medicine

Term Index
{'items': [{'key': '6hlpe', 'term': 'Toll様受容体(TLR)-NFκB経路', 'description': {'blocks': [{'key': '9ot14', 'text': '1980年代にクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトらがショウジョウバエの背腹軸の決定に異常を持つ変異体として、Toll(トル)とDorsal(ドーサル)などを発見し、その後、それらがそれぞれ受容体と転写因子をコードし、Toll受容体からのシグナルが転写因子Dorsalを活性化することでショウジョウバエの腹側が誘導されることがわかった。また、1986年にノーベル賞受賞者であるデビッド・ボルティモアらにより転写因子NFκBが発見され、のちにこれがDorsalの相同タンパク質(ホモログ)であることがわかった。さらに、1997年に哺乳類にもTollと類似のタンパク質群が存在することがわかり、Toll-like(Toll様)Receptor(TLR)と名付けられた。その後、TLRが種々の病原体を感知して転写因子NFκBなどを活性化させることで自然免疫を作動させる機能があることがわかった。現在、TLR-NFκB経路は自然免疫応答を担う重要な生命システムとして注目されており、一方で、当初から知られていた体軸誘導機能は徐々に注目されなくなっていった。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}, {'key': 'a6dql', 'term': '遺伝的補償', 'description': {'blocks': [{'key': '69m7m', 'text': 'Genetic compensationという言葉でも知られる。細胞は環境を感知し、自身の遺伝子発現を微調整することにより環境に適応できる。この適応を担うのが遺伝的補償機構である。例えば、遺伝子ノックアウト動物の作製においては、まずはゲノム編集などでヘテロノックアウト個体を作製してそれを掛け合わせてホモ変異体を作製してから表現型解析を行うが、遺伝子が破壊されてから観察に至るまでに動物の世代交代を経るため、その間に細胞がその状態に適応するために遺伝子発現状態を変化させ、本来は野生型で働かない遺伝子が「破壊された遺伝子の機能」を補償してしまい、ホモ変異体で異常が生じなくなってしまうケースがある。一方で、アンチセンスや阻害剤を胚に投与してすぐに表現型を観察する場合は、補償機構が働く以前に観察ができるため、阻害された遺伝子の効果をよりクリアに見ることができる。2019年にディディエール・スタイナー博士らによってこの現象がクリアに説明されているので、ご興味のある方はぜひこちらを参考にしていただきたい(https://www.nature.com/articles/s41586-019-1064-z)。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}, {'key': 'b206m', 'term': 'ゼブラフィッシュ', 'description': {'blocks': [{'key': '6qen0', 'text': 'ヒマラヤ周辺の温帯地域の池の浅瀬や田んぼのそばに棲息するコイ科の淡水魚。胚や稚魚の体が小さく透明なため、イメージング解析に最も適したモデル脊椎動物であると考えられている。また、人と類似した遺伝子、細胞、臓器を有し、かつ、容易に飼育・実験操作できることなどから、「ヒト疾患研究の第3のモデル動物」として米国NIH(国立衛生研究所)に指定されている(第1、第2のモデルはマウスとラット)。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}, {'key': 'bp40l', 'term': 'Wnt', 'description': {'blocks': [{'key': '56i85', 'text': '線虫、昆虫、魚類からヒトを含む哺乳類に至るまで高度に保存された細胞外情報伝達タンパク質であり、細胞表面の特定の受容体タンパク質に結合し、特定の細胞内情報伝達経路を活性化する。Wntという名前は、ショウジョウバエで発見された翅形成に関わる遺伝子winglessとマウスで見つかった乳がん遺伝子int-1が進化的に同じ遺伝子であることがわかり、二つの遺伝子名を組み合わせて名付けられた。現在では、Wntは体軸形成、幹細胞の誘導・維持、がんの発生など多様な機能を担うことが明らかにされている。また、Wntはその機能から古典的Wntと非古典的Wntに分類され、前者はWnt/β-catenin経路と呼ばれる細胞内情報伝達経路を活性化し、後者はそれ以外の経路を制御する。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}, {'key': '8hdc7', 'term': 'イメージング解析', 'description': {'blocks': [{'key': '66jsl', 'text': '生物の体内における細胞動態、細胞内の分子動態を可視化する研究方法。最も多くの情報を得ることができ、生命現象を最も効果的に理解できる方法の一つである。対象とする生物の透明度が高ければ体内深部までイメージングが可能で、かつ対象とする生物が小さければ分子動態、細胞動態、個体の変化を同時に把握できる。このため、小さく透明度の高い生物に対して極めて有効である。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}, {'key': '3rsui', 'term': 'オーガナイザー', 'description': {'blocks': [{'key': 'dkde1', 'text': 'オーガナイザーは,ハンス・シュペーマン(Hans Spemann)とヒルデ・マンゴールド(Hilde Mangold)によって,イモリ胚を用いた原口背唇部の移植による二次胚誘導実験により見出された。シュペーマンはこの発見により、1935年にノーベル賞を受賞した。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}, {'key': '97519', 'term': '負のフィードバック制御', 'description': {'blocks': [{'key': '55c4c', 'text': '情報伝達の流れが過剰にならないように、情報伝達の流れを自ら抑制する現象。多くの細胞内情報伝達経路において採用されている。本研究のケースでは、古典的Wntによるオーガナイザーの誘導(とそれに続く背側誘導)が過剰にならないようにこの制御が使われている。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}, {'key': 'c2b36', 'term': 'モルフォリノアンチセンスオリゴ(MO)', 'description': {'blocks': [{'key': '63tn6', 'text': 'RNA、DNAのリボース、デオキシリボースの代わりにモルフォリン環を主鎖とするオリゴヌクレオチド。配列をデザインすることで、狙った遺伝子のmRNAと相補的に結合させることができ、mRNAの成熟あるいは翻訳を特異的に阻害することができる。受精卵や初期胚に打ち込むことで、任意の遺伝子の胚発生過程における機能を阻害することができる。', 'type': 'unstyled', 'depth': 0, 'inlineStyleRanges': [], 'entityRanges': [], 'data': {}}], 'entityMap': {}}}]}

Departments
['rimd', 'med']

Related Teachers
['石谷 太', 'Zou Juqi']

Teacher Comment
この研究を最初に着想したのは学生時代で、少しお試し実験もしてみましたが、実力不足でうまくいきませんでした。でも諦め切れず、それから十年近く経って(石谷が九大に研究室を持っていた時期)に研究仲間の太田さん、穴井さん(すでに転出)を誘って実験を行い、なんとかNFκBが初期胚背側で働くことを発見しましたが、そこからが悪戦苦闘でした。その後、彼らと入れ替わりで入った大学院生Zou君の粘りと成長、遺伝的補償の事実に気づいたことで急速に研究が進み、ロジックを再構築、データを再取得してなんとかここまで至りました。仲間たちの長年の粘りに感謝です。

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Teacher Name
石谷 太

Teacher Position
教授

Teacher Division1
微生物病研究所

Teacher Division2

Teacher URL
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/85e321668f0981f5.html?k=%E7%9F%B3%E8%B0%B7%20%E5%A4%AA