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【お口の相談コーナー】夜中に歯ぎしりをしているようで、周りの人に指摘されたり、突然歯の根が折れて抜歯になったりしたことがあります。予防法はありませんか?

口腔補綴科・講師・瑞森崇弘

【お口の相談コーナー】夜中に歯ぎしりをしているようで、周りの人に指摘されたり、突然歯の根が折れて抜歯になったりしたことがあります。予防法はありませんか?

【お口の相談コーナー】夜中に歯ぎしりをしているようで、周りの人に指摘されたり、突然歯の根が折れて抜歯になったりしたことがあります。予防法はありませんか?

口腔補綴科
瑞森崇弘 講師

睡眠中の歯ぎしりは他人への騒音となるだけでなく、自分の歯や筋肉、顎関節にも有害です。また、音が出ないくいしばりのこともあり、これは本人に自覚がなく他人も気づかないことが多いです。

無意識に行われるため、気がつかないままに歯に外傷的な力として働き、歯の異常な摩耗や破折、かぶせ物などの破損、さらには歯根破折による抜歯の原因となります。他にも、アゴの筋肉の疲労や痛み、口が開きにくいなどの顎関節症の重要な原因であり、筋肉や骨格の過成長から顔貌に影響を与えることもあります。さらに、歯ぎしりの騒音が同室者の睡眠妨害になります。

以前は抜歯の原因といえば、虫歯を放置した結果であったり、歯周病であったりしましたが、歯科衛生知識の向上等によりこのような疾患は減少しました。これに代わって、健康な歯の歯根破折による抜歯が増加しています。睡眠中に歯ぎしりやくいしばりをしている時には、起きている時と違って力の制御がされないので、時には意識して出す力よりも異常に大きな力が発生します。また、食事時よりも長時間にわたって繰り返し力が発生するため、歯根破折の最大の原因になると考えられます。

なぜ歯ぎしりをするのかの原因は不明で、かつてはかみ合わせが影響すると考えられていましたが、現在は否定されています。根本的な治療法は見つかっておらず、対症療法的に写真のようなマウスピースを使用します。マウスピースをしても歯ぎしりがおさまらないこともありますが、歯の保護と歯ぎしり音の抑制には効果があります。

気になる方は、お気軽に当院の担当医にお尋ねください。

(2018年4月「大阪大学歯学部附属病院広報誌 NewsLetter vol.15」より)

(2018年4月取材)