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【お口のマメ知識】放射線や放射能の単位について

放射線科・副科長・村上 秀明

【お口のマメ知識】放射線や放射能の単位について

【お口のマメ知識】放射線や放射能の単位について

歯学部附属病院
放射線科 村上 秀明 副科長

東日本大震災の際の原子力発電の事故以来、放射線に関して耳にしない日は無いくらいです。この放射線被ばくの単位について、テレビや新聞では「ベクレル(Bq)」や「シーベルト(Sv)」などを用いています。

【ベクレルとは】
放射線を出す能力を放射能といいますが、この放射能の単位が「ベクレル」です。ベクレルは放射能を発見し、第3回のノーベル賞を受賞したフランス人 (写真1) です。以前の放射能の単位は「キュリー(Ci)」でしたが、1990年に変更されました。

【レントゲンとは】
エックス線を発見し、第1回のノーベル賞を受賞したのがドイツ人のレントゲン (写真2) で、「レントゲン(R)」は放射線の照射線量の以前の単位でした。

【シーベルトとは】
放射線の実効線量の単位を「シーベルト」といいます。同じ放射線が当たったとしても、その放射線の種類や、放射線の当たる部位によってその影響が異なるため、特別な係数を用いて計算する線量です。シーベルトは放射線被ばくによる生物学的な影響を研究したスウェーデン人です。

さて、人体に有害な事象が起きる最小の実効線量は100 mSv(ミリシーベルト)とされています。この100 mSvを用いて、みなさんは1年間にその100分の1、すなわち1 mSvまで被ばくしてよいことになっています。医療従事者は2分の1、すなわち50 mSvまでとなっています。

当院で行う歯のレントゲン写真での1回あたりの被ばく線量は5μSv(マイクロシーベルト)程度です。これは、人体に有害な事象が起きる最小の実効線量である100 mSvの20,000分の1です。ちなみに、原子力発電の事故で放出されたセシウム300 Bqを経口摂取したとすると、実効線量は5μSvくらいとなります。

(2017年4月「大阪大学歯学部附属病院広報誌 NewsLetter vol.11」より)

https://hospital.dent.osaka-u.ac.jp/hospital/hospital_000430.html


写真1 アンリ・ベクレル


写真2 ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン

(2017年4月取材)