究みのStoryZ

【お口のマメ知識】生まれつき歯の数が足りない―先天性多数歯欠損症

矯正科・病棟医長・上松 節子

【お口のマメ知識】生まれつき歯の数が足りない―先天性多数歯欠損症

【お口のマメ知識】生まれつき歯の数が足りない―先天性多数歯欠損症

歯学部附属病院
矯正科 上松 節子 病棟医長

人間の歯は、乳歯が20本、永久歯は28本(親知らずを除く)あります。あごの骨の中には歯胚と呼ばれる歯の卵のようなものがあり、エックス線検査で歯胚を確認することによって歯の数を知ることができます。むし歯や歯周病が原因で歯を失ったのではなく、生まれつき歯がない(先天性欠如歯)ことがあり、前から5番目の永久歯(第二小臼歯)や2番目の永久歯(側切歯)の先天性欠如歯がよくみられます。乳歯と永久歯の両方で歯が欠如している場合と、永久歯だけ足りない場合があり、親知らずを除いた永久歯6本以上が欠如していることを「先天性多数歯欠損症」といいます。

歯の数が足りないと、歯並びにはどのような影響が出るのでしょうか?まず永久歯の萌出方向や萌出時期の異常(萌出障害)が起こります。また、歯と歯の間が空いてしまったり、欠如している部位と咬みあう歯がのびたり(挺出、ていしゅつ)します。こうした症状があると咬みあわせが悪くなります(咬合異常)し、前歯に隙間ができると見た目も良くありません。歯の萌出に伴ってあごの骨も成長するので、多数歯欠損ではその部分の骨の成長量が少なくなったりします。最終的には永久歯列内に隙間ができるので、ブリッジ、インプラントあるいは入れ歯(義歯)といった補綴処置が必要になります。

矯正科では、これらの咬合異常に対して、成長期には小児義歯の作製など小児歯科と連携して治療を行い、永久歯列完成後は補綴科と連携して最終的な補綴処置が行いやすい歯並びに整えていきます。平成24年度より「6歯以上の非症候性部分性無歯症」の矯正治療は保険適応となりました。歯並びについてお困りの方は、当科までご相談ください。

(2014年10月「大阪大学歯学部附属病院広報誌 News Letter vol.01」より)

(2018年2月取材)