2018年9月20日

X線照射でナノ材料によるイメージングを

小阪田准教授とバイオイメージングの出会いは米国スタンフォード大学での留学時代。学生時代は有機化学や物理化学を学んでいたが、留学先では新しい世界に飛び込みたいとナノスケールでのイメージングの研究室に進んだ。たまたま出会った研究者から、「X線照射すると発光する材料はできないか」と持ちかけられ、共同研究がスタート。学生時代に学んだ放射線科学の知識も動員して、ナノ材料をX線照射により発光させるイメージングを行うという手法を考えついた。

イメージングの応用

次に、発光性のイリジウム錯体や金属クラスターを使ったバイオイメージングに歩を進めた。クラスターは、同種の原子や分子が結合したナノサイズの物体。着目したのは、金の原子25個が集まった構造の発光性金ナノクラスター。現在、多色発光が可能になるようにと応用を進めている。  さらに光化学的な原理を付加して、光信号のオンオフに応じて、発光したり、消光したりするナノ粒子の設計にも取り組んでいる。「光がつきっぱなしでも困るし、つかないのも困ります。実は、消すのは易しいのです。つかないようにする工夫を考えています」  今後は、生体機能制御やDDS(ドラッグデリバリーシステム)分野で、発光バイオイメージングの手法を応用した新しい展開をしていきたいと考えている。「基礎科学の基盤をしっかり構築していく研究をめざしていますが、将来は疾病の治療や創薬に応用できる研究がいいですね」

恩師や仲間から刺激を受けて成長

現在、高等共創研究院に所属しながら、大学院時代の古巣である産業科学研究所で、単独で実際の研究を進めている。「夏期講座などを除けば、今は講義を受け持つことがなく、論文指導に当たる学生もいない。研究に専念できるのが利点ですが、少し寂しさもありますね」と語る。「将来こんな応用につながるだろうと、夢や希望を語り合いながら学生さんと一緒に研究したいですね。大学院時代も、留学先でもたくさんの人々に囲まれ、刺激を受けながら成長してくることができたと思います」  産業科学研究所の恩師の川井清彦准教授とは、今も共同研究でお世話になり、米国留学時代の仲間とは常に交流を続け、「一緒に研究しよう」と約束している。

 

●小阪田泰子(おさかだ やすこ)
2009年大阪大学工学研究科修了、博士(工学)。同年日本学術振興会・海外特別研究員、10年科学技術振興機構・さきがけ専任研究者(スタンフォード大学)、13年京都大学物質細胞統合システム拠点特定拠点助教、14年大阪大学産業科学研究所助教、17年より現職。

(2018年1月取材)

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