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【お口のマメ知識】第一大臼歯のむし歯予防

小児歯科・外来医長・大川 玲奈

【お口のマメ知識】第一大臼歯のむし歯予防

【お口のマメ知識】第一大臼歯のむし歯予防

歯学部附属病院
小児歯科 大川 玲奈 外来医長

第一大臼歯は、6歳頃に乳歯の奥から生えてくるため、6歳臼歯と呼ばれることもある永久歯です。咬む力が一番強く、咬み合わせの中心となるとても大切な歯です。しかし、咬み合わせの溝が深いことや、生えてくるのに時間がかかるので汚れが溜まりやすいです。また、乳歯の後ろから生えてくるので歯磨きが難しいことや、生えたての歯のため歯の質が未熟であることなどの理由から、とてもむし歯になりやすい歯です (写真1) 。

この大切な第一大臼歯のむし歯予防として、小児歯科ではフッ化物の塗布とフィッシャーシーラントをお勧めしています。フッ化物は歯の質を強くし、特に歯の質が未熟な永久歯ではフッ化物を取り込みやすいので効果的です。ご家庭でフッ化物を配合した歯磨き粉やジェルを使っていただくこともお勧めします。また、フィッシャーシーラントは、咬み合わせの溝の深い部分にフッ化物を含有したセメントやプラスチックを流し込むことによって溝をふさぐ方法です (写真2) 。
歯の溝をきれいに清掃してから、生えかけの時はセメントで仮づめし、完全に生えた後はプラスチックを用いて溝をふさぎます。歯を削る詰め物とは違いますので、永久的な効果はありません。欠けたり、取れたりしていないか、定期的なチェックが必要です。さらに、第一大臼歯専用の歯ブラシを用いた保護者の方による仕上げ磨きもむし歯予防に有効です。

もちろん、第一大臼歯が生えてくるまでに、乳歯のむし歯があれば、しっかりと治療して、お口の中の環境を整えることが大切です。小児歯科では、お子さんのお口の成長発育に応じたむし歯予防を行なっていますので、担当医にお気軽にご相談ください。
(2017年1月「大阪大学歯学部附属病院広報誌 NewsLetter vol.10」より)

https://hospital.dent.osaka-u.ac.jp/hospital/hospital_000430.html

写真1
生えかけの第一大臼歯(汚れをピンクに染めると、溝の部分に汚れが残っていることが分かります。)


写真2
シーラント後

(2017年1月取材)